大晦日にヘルメットを考える1007号

 

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         大晦日にヘルメットを考える1007号

■大晦日だ

 ひゃー、2022年も今日で終わりか。私にとっては、なんだか常に追いたてられているような1年だったなぁ。みなさまいかがお過ごしでしたか、今年1年。
 自転車業界もじわじわ変化しつつあります。
 NPO自転車活用推進研究会の「自転車十大ニュース」では「警察庁が15年ぶりに自転車安全利用五則を改定し、おざなりになっていた取り締まりの強化を進めていること」などが上位に上がってる。

■ヘルメットの努力義務化

 いやー、ヘルメット話も、それと同系統だけど、来年のインパクトは一番かもしれない。「すべての年齢において自転車ヘルメット努力義務化」だ。
 じつは私、2022年の6月の会議で警視庁と東京都から「来年4月、ついにヘルメットやります」と聞いてた。「努力義務を課すだけではなくて、警察も装着します。すべての白チャリで!」
 いよいよ今回は警察も本気だ。
 ヘルメットの努力義務が施行される同じ日から、すべての自転車乗車警察官が制式ヘルメットをかぶる。赤切符云々(で、実際は切らない)などと違って、見た目で変わる。警察いいぞ。
 なるほどなー、来年4月から、すべての人が自転車ヘルメットかー。
 まあね、私は常にかぶってる。家族全員常に装着。それがヒキタ家のポリシーだから。なんつっても自転車事故で死亡する人の6割は「死因・頭部損傷」なのだからして。
 私は基本的に「自転車ヘルメットに賛成」。ただ、それだけではすまないのが、自転車ヘルメットの迷路部分でね。

■自転車最先進諸国ではどうか

 先日の警察発表の日、テレビの夕方ワイド番組の中とかで「良いことですね、遅すぎたくらいです」みたいな話を山ほど聞いたんだけど、何か違和感があるんだよな。「遅すぎた」? あんたはこれまで何を見てきたのかって(笑)。いつものように自分が乗らないからか、ちっとも分かってない。
 何かと言いますと、前々から自転車ヘルメット義務化には世界的に賛否両論・議論の流れがあったわけです。たとえばデンマークやオランダでは今でもこういう主張がなされる。
「自転車にヘルメットを強制すると、特に女性がいやがり、自転車に乗る人が減る。これはエコにもSDGsにも反している。行政はヘルメットよりも『ヘルメット無しでも安全なインフラ』を作るべきだ」。
 なるほどと思う。
 逆にオーストラリアなどではヘルメットを完全義務化した。罰金つき。うまくいってるように見える。だが、言われてみてハッと気づくのが「自転車乗りが男ばっか」ということだ。女性が乗ってない。
 じつは日本にも実例があって、自転車ヘルメット委員会(馬場誠事務局長)の1万人アンケートでは、すべての世代において男性よりも女性の方が装着率が有意に低かった。おそらくは『髪型が崩れる』のが忌避されるのだと思われている。
 こうした事実があるわけで(それだけじゃない、ヘルメットの装着or非装着は事故の時どう扱われるかなど色々、これは次号サイスポ誌に書いた)そのあたりも考えつつ、ヘルメットのことは考えなくてはならん。
 手放しで「いいことですよ」とばかりは言えないのだ。

■とりあえず中学生のドカヘル

 ただね、とりあえず田舎の中学生みたいな「ドカヘルの押し付け」はやめた方がいいな。
 ちゃんと軽くて風の通る「自転車用ヘルメット」をかぶるべき。あのドカヘルは「重い、蒸れる、臭い、カッコ悪い」の四重苦で、あれを強制されると、生涯にわたってヘルメットが嫌いになるから。私も宮崎県日南市で経験済みだ(`・ω・´)キリッ。
 しかしなー、ママチャリユーザーたちはヘルメット嫌がるだろうなぁ。
 今から予告しておくけど、4月の法施行、ちょっとした混乱になるぞー。

【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『ナイトシフト〈1〉深夜勤務』スティーブン・キング著 扶桑社ミステリー

 前回に引き続きキング。今度は10編入った短編集。
 私はキング作品の真骨頂は、長編よりも短編にあり、という気がしてるんだが、それはなぜかと問われると長編だと前提とじわじわ盛り上げ部分が長すぎて、面白パートにズバッとたどり着けないからだ(おそらくキングはよかれと思ってそうしてるんだろうと思うけど)。前回の『シャイニング』なんてのはその典型例で、上下巻の「上」は、正直言って4分の1にできる。
 短編にはそれがない。最初からクレイジーにホラー。6番目の『灰色のかたまり』なんてのは、父親が、スライム状の「ナニモノカ」に変異していく理不尽を、理不尽なままに描き、理不尽に終わるというキングらしい作品で、私しゃ面白かった。
 じつはこれ、学生時代に(無理して)原書で読んだ。
 でも、短編集だと途中で「ワカラーン」「スジが追えーん」となっても、そこで放り投げて次の作品にいける。そういうところもいいね(笑)♪


【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/

【好評既刊本】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
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