「電動サイクル」とやらを許せるか? の1024号

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      「電動サイクル」とやらを許せるか? の1024号

■車道で20km/h、歩道で6km/hって?

 スロットル一発、漕がなくても進める「電動サイクル」なるトンデモ物件が話題ですが、いやもう呆れ返るしかないです。今後、これ「合法!」となるらしいですよ。
 いったいこれ何にどう資するというんでしょうかね。

【ペダルを漕がない「電動サイクル」 免許不要で改正道交法対応】
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1511554.html?fbclid=IwAR2GS9HSjfjqbP4AqMEMFlGcVC_P315lbXsoEh44qVJElD-eFLF0uIyozq0

 こういう電動スクーターが、電動キックと同じく「特定小型原動機付自転車」に指定されて、今後「無免許OK」「ヘルなしOK」「歩道もOK」「←つまり左右デタラメOK」「ナンバープレートだけはあり」になるんだそうで。
 ペダルありません。上記記事の写真、ペダルに見える部分は足置き。

 今現在の違法フル電動自転車についても「ならペダルとっちゃえー♪」でますます危なくなるという未来が見える、と、ノストラダムスも予言していました。……というか、このところの日本の道路行政、カオスに向かってるとしか思えんのよねぇ。
「今なぜそれをやる?」
 そこが私にはまったく分からないのです。
 関係者の説明によると、発想の基本は「自転車じゃなくて電動キック」だそうです。で、電動キックのネガを潰したら、これになった。説明パワポ4枚目の写真に見える通り。

■これがアリなら、未来は確実にこうなる

 一部報道で「高齢者の移動手段として」だそうで。そうなるもんか。よく考えちみ?(←宮崎弁)
 まず構図として駄目なのが、出発点の電動キックですよ。
 電動キック自体もどうかと思いましたが(現に世界中で下火)、お年寄りが乗ると、安定しないし、倒れるし、止まれないし、立ちっぱなしで楽じゃないし、で、大変だったわけですよ。ま、当然の結果として。

 だから、こうして自転車型にした。お年寄りも安心、と。
 でも、じゃ、そのお年寄りは車道・歩道のどっちを走りますかね。もちろん歩道。ということは、6km/h制限です。まちがいなく倒れます。早歩き程度のスピードですから。6km/hって。それじゃ2輪車を安定させられない。
 だから、絶対にそんな6km/h規制なんて守られない。これはもう断言できますよ。
 で、スロットル一発20km/hで走るでしょう。歩道を。
 歩道には当然、お年寄り、幼児、ベビーカー、障碍者が歩いています。そこに音なし20km/hで、運動神経の落ちたお年寄りが運転する電動サイクルとやらがくる。またはすいすい進もうとする若いのも20km/hでくる。
 シャレにならない危険さというのが分かっていただけると思います。

 車道はあいかわらずクルマの天国。
 で、歩道の中では、交通弱者が互いに傷つけあうという構図です。老老介護ならぬ、老老事故。
 これ以外にも、現状の自転車のあり方、はたまたフル電動違法自転車とのからみもあって、どこにもいいところが見つかりません。ダレトク!? です。
 そもそもナンバー付きのビークルが歩道OKというのが間違いというか、矛盾じゃないですか。

■7/8に大東文化大学でシンポ『日常と非日常の自転車活用』

 来月8日、大東文化大学で自転車シンポジウムやります。
 タイトルが『日常と非日常の自転車活用』で、なんかカコいい。
 7/8(土)の13:30〜16:00で、場所は大東文化大学板橋キャンパスの多目的ホールです(東武東上線東武練馬から大学バス利用可。または都営三田線西台駅から徒歩10分)。
 是非どうぞ。国交省の金籠参事官(自転車活用推進本部事務局次長)も登壇で、担当教授の野嶋先生も「たくさん来てねー」つってます。

【詳しくはコチラをどうぞ】
https://www.daito.ac.jp/research/laboratory/sociology/news/details_15_40249.html

 昭和の巨大団地「高島平」もすぐ近くなんで、ちょっと変わったツーリングの行き先としてもけっこう味わい深いかもしれませんですよ♪ あと、ここでも電動サイクルの危惧について少々語るつもりです。


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

「年金ロックンローラー内沢裕吉」 ホイチョイ・プロダクションズ著 ダイヤモンド社

 スッゴく好みの分かれる絵柄のマンガでありますが、まあ「定年後のおカネ戦略」を色々な側面から語ってくれて、なんだかちょっとウザいテイストながら楽しめた。
 ストーリーはメチャクチャで(笑)最初なんだなんだと思ってたら、戦国時代にタイムスリップしちゃうんだよ。で、最後の最後にちょっとした感動がある。なんなんだこれ。
 それにしてもホイチョイプロダクションだ。
 学生時代は見栄講座、バブル時代はスキーに連れてって、不景気時代にはバブルへGO、そして今、年金ロックンローラーだ(笑)。私は人生をホイチョイとともに生きてきたと言っても過言じゃない。いやちょっと過言。
 本当は私はちょっと年下世代だから、ホイチョイの人々は、必ず、ちょっと先を行って色々示してくれた、という感じなんだよね。その彼らが年金か。時は経ったなぁ。


【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/

【好評既刊本】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%95D%93c%92q&x=0&y=0

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「電動サイクル」とやらを許せるか? の1024号” に対して1件のコメントがあります。

  1. チャリ太郎 より:

    以前の政権による成長戦略につけこんだスタートアップ業界のごり押しなんでしょうか。免許持ってなくても16歳で運転可って、そもそも道交法理解していない人も多いのでは。自賠責で補償されずに任意無保険で轢かれ損とか勘弁ですね

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