これはまずいよ電動キックスケーター規制緩和の974号

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     これはまずいよ電動キックスケーターの974号

■【速報】電動キックスケーター規制緩和へ?

 うっひゃー、 ニュース見て驚きました。これはマズい。本気でアブナイですよ。一度でもこれに乗って坂道を降りてみたら分かります。スピードは出るし、停まれません。無理して停まれば顔からゴツンです。20km/h規制なんて意味ないです。
 そもそもナンバープレートがあるのに免許要らずというのもよく分からないし、片方で「危ないから取り締まり強化」としているのに、片方で「規制緩和」。で「一部では」歩道通行も可。
 国がやってることが、ちぐはぐで、なんかどこかの発展途上国のようです。本気で。

■ついに逮捕者(これ以降「CYCLE SPORTS」誌2021年10月号から転載)

 電動キックスケーター、無免許で乗って、タクシーにぶつけて、逮捕者が出た。23歳、新宿区在住のおねーちゃんだよ。
 NHKの報道によると「赤信号を無視して交差点に進入し、タクシーと衝突して乗客の男性にけがをさせたとして無免許危険運転傷害の疑いが持たれています」だそうな。
 おねーちゃん本人も右手の骨を折る怪我をして、いや、不幸な事故だったとしか言いようがないが(←あ、若い女性に甘い)このところこの手の事故は増えている、いや、激増してるわけだ。

 警視庁によりますと、都内ではことしに入ってから関係する事故が相次ぎ、8月24日までに合わせて34件に上っているということです。(8月26日・NHKュース)

 当然だよな。
 この手の新手のモビリティ、もちろん今回の電動キックスケーターみたいなのが代表格なんだが、位置づけも、使い方も、法規制も、売り方も、ほとんど定まってない。
 それなのに「何だか新しいじゃん、新時代っぽいじゃん」というだけで、世の中全体が飛びついているかに見える。
 どうなんだろう。
 乗ってみたけど、私に言わせりゃ、ちっともいいと思えないんだが。

■都心で激増

 いや、確かに増えたんだ。激増。
 特に渋谷区と港区でね。
 西麻布交差点や渋谷三丁目交差点、もうそこらでザクザク見るよ。
 一番目立つのはチェレステブルー(?)みたいな色に塗られたシェア型の電動キックね。これ、渋谷区で社会実験的に始まったものが、バンバン増えてここまでやってきた。
 ま、いちおう業者がやってるということもあり、これにはナンバープレートがついていて、最高速度が時速15キロに制限されているという。
 もうひとつ目立つのが、今回検挙されたのと同じく、ナンバーなし、何もなし、の個人使用の電動キックだ。
 外苑西通りとか歩いていると、もうそこらに置いてある。有名なランボルギーニ屋さんの前にも置いてあった(笑)。
 つまりなんだ、この電動キック、一部地域では、オサレでイケててクールだとみられてるんだろう。
 だがね、この電動キック、本来は保安部品(バックミラーやウィンカーなど)をつけ、ナンバープレートを取って、免許とともに乗らなくてはならない。ところが、ナンバープレートついてないわけよ。今回逮捕のおねーちゃんもそうだ。
 で、そういうシロモノがとんでもなくハイパワーなわけ。私が乗った例でいうと、右手ひとひねりですぐさま時速40キロや50キロが出た。面白いには面白いけど、スリリングな面白さというか、危険だよ。ありていに言うと。
 で、それらの電動キック、ネットで探すと、フツーの顔して売ってるわけさ。しかもR天とかメジャーどころのネット市場で。堂々ナンバーなし。便利でオシャレ、折りたたみで超軽量、パワフルなのにエコとかいって。
 で、そこにあしらわれた写真は、外国の街角で(必ず外国の!)疾走するオシャレなおねーちゃんやカップルなわけだ。
 で、ページの奥の奥の下の下の方に、小さな文字でこう書いてある。

※注意事項:日本の公道での走行はできません。公道で使用する場合にはご自身でナンバープレートを取得する必要があります。ナンバープレート取得に関するサポートは行っておりません。

 これ、どうなんだ。完全無欠の「無責任!」ってヤツじゃないのか。
 呆れ返りながら、ウェブサイト眺めながら、でも、ちょっと笑ってしまったのは、右記の「行動での走行は云々」の文字の5倍くらいの大きさで、こう書いてあったことだ。

ベル付き ベルが付いているので、使用上にはもっと安全です。

 はぁ、そうすか。ベルが付いてるから安全ときましたか。もうワケが分からない(笑)。この日本語の妖しさからも分かる通り、もちろん中国の業者だね。

■一方のシェア型はどうなのか。

 じゃ、一方のシェア型は無問題なのかというと、いやいや、そんなことがあるわけない。
 まず時速15キロというのが、どうにも微妙でね。「原付扱い、でもヘルメット要らない」というお手軽扱いを実現させるために、いわば安全速度を15キロと定めてもらったわけだが、ただし、そのスピードで一体どこを走るのよ。
 本誌をお読みの方なら先刻ご承知のように、時速15キロというのはママチャリと同じか若干遅いくらいでね。その速度で車道を走るのは恐いぞ。クルマの流れになんて乗りようがない。しかもこちらは自転車以上に生身剥き出しだ。
 では歩道か?
 歩道は歩道で、今度は歩行者に対する脅威となってしまう。ぐいっとスロットルをひねればすぐに15キロ。こうしたものが歩道を走ることが、ベビーカーに、高齢者に、障碍者に、どれほど脅威なことか。ま、だからこそ最初から歩道走行は禁止されているんだが、いやまあオバちゃんたちの電アシママチャリの例を見ても分かる通り、絶対に走るさ、歩道を。
 速度についてはそれだけじゃない。
 時速15キロまでしか出ないというけど、下り坂はどうなんだ? 
 スゴく出るぞ、スピード。で、止まらないぞ。というより、止まれないぞ。下り坂でブレーキ握ったら、前につんのめってそのまま顔からダイブなんだから
 もう、そういう物理の法則を考えても事故の元としかいいようがないわけだ。
 自分ひとりで事故るなら、勝手にどうぞだが、他者を巻き込む。というより、他者を巻き込まなくては止まれないんだよ、この形態のビークルは。

■似てるのは「吊革バス」だ

 そもそもで言っても、私としてはチョー不思議なのだ。なぜこれが流行る?
 1時間程度乗ってみれば、誰もが分かると思うけど、これ、ちっとも楽じゃないよ。
 始終緊張状態で、なおかつ理不尽な(?)Gにも耐えないとイケないからスゴく疲れる。普段使いしないヘンな筋肉が突っ張る。
 一番なのは、ずっと立ちっぱなしじゃないですか。椅子がない。椅子がないから休まらない。
 クルマだって、自転車だって、オートバイだって、座って運転するからこそ、長時間運転に集中できるわけでね。立って……というのは普通はないわけよ。
 一番「あ、これが似てる」と思ったのが、満員バスの吊革だ。
 電車じゃなくてバス。
 電車だとね、ずーっと立ってるから疲れるには疲れるけど、駅に着く際、駅を出る際にGがかかるだけ。
 ところが、バスだと、信号で止まる、曲がり角で横Gがかかる、渋滞からいきなり動き出す、で、いつも踏ん張ってないといけないから、結構疲れるじゃないですか。特に横Gが疲れる。あれの過激版がこれよ。
 なんだろうなぁ、コロナで家ごもりで気がクサクサしている中で、ちょっと新しっぽくて、自由っぽい感じがウケたのかなぁ。
 一言でいうなら、これは「いっときの流行り」となるだろう。いっときの流行りが終わった後は単なるおもちゃとなる。モーターがついてないキックスケーターがたどった道と同じ道だ。
 だがね、電動の有無で危険度合いは圧倒的に変わる。もちろん悪い方向にだ。だが、私が思うのは、そこからちょっとズレた部分でね。現在すでにカオス化している日本の路上についてなのだ。
 このカオス化した日本の道路(特に歩道)にこれ以上異物を持ち込む必然性は何なのだ? 高齢化が進む日本の中で、今後、シニアカーや一人乗りの低速カーなどの安全を図らなくてはならないのは誰もが認める「事実」だろう。そこにこうした電動キック。
 要るか?

■2021年自転車十大ニュース

 毎年NPO自転車活用推進研究会が決めております、自転車十大ニュースですが、今年も投票やってます。
 ぜひどうぞ。クリスマスの翌日が〆切りです。

【12/26まで【みんなで選ぼう!自転車10大ニュース総選挙】2021年度投票募集開始】

 自転車活用推進研究会では本年も恒例の「自転車10大ニュース」の選考を行います。
 今年11月末までに起きた自転車にまつわるニュース31本から、皆さんの投票をお願いします。
 自活研会員(会員番号を入力された方)は1票につき2ポイント、一般の方の1票は1ポイントとカウントし、獲得ポイントの多いものから順位をつけて公表します。
 投票締め切りは12月26日23:59です。
 12月27日の発表を予定しています。
 以下のフォームから投票をお願いします。

【この「投票箱」から投票どうぞ↓】
https://forms.gle/t9cppwB8Bx8vRt157

 自活研サイト(https://www.cyclists.jp/)からも投票できます。


【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/

【ヒキタ新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878

【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
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