「人工光合成」の時代が来る?の946号





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       「人工光合成」の時代が来る? の946号

■「人工光合成」が植物を超えたって?

 人工光合成ってのがある。
 植物が太陽エネルギーで二酸化炭素から有機物を作るってあれを、人の手で化学的に行うというものだ。
 おととい共同通信が伝えてきて(私はFacebookの友達情報で昨日初めて知った)驚いたんだけど、その人工光合成が植物の効率を超えたんだそうな。
 え、これ、ちょっとスゴくないすか?

【世界最高水準の人工光合成に成功 トヨタ系、植物上回る効率】
https://this.kiji.is/757547934281613312?c=39546741839462401&fbclid=IwAR0mGJv_ece9Y8rOhCjGupH9aecG7poSSCTZCzlZQTqnBuDdYU1xan9SfsM

 もともと人工光合成の技術というのは、日本の会社や研究所が世界に先駆けてスゴかったらしいんだけど、ついにここまで来たか…!という感じでね。
 これで生み出される有機物「ギ酸(蟻酸)」を使うと、こんな燃料電池(フューエルセル)だって回り始めるという。

【ギ酸燃料電池】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E9%85%B8%E7%87%83%E6%96%99%E9%9B%BB%E6%B1%A0

 要するに上記の技術2つを組み合わせると、水と空気だけで走るクルマが理論上できる、という話だ。
 こりゃ電気自動車どころのエコ度じゃないよ。
 こんな大ニュースを、なぜメディア各社があまり報じないのか不思議なんだけど、私としては、なにやら未来のブレイクスルーの予感がするのです。

■「さすがはトヨタ」というべきか?

 電気自動車に注目が集まるなか、頑なにフューエルセルの道を突き進んでたトヨタでありますが(もちろんハイブリッドがあって、つぎにエレキ…、とやってるけど)私は前々から「なんでかなー、水素ステーションなんてむずかしかろうになー」と思ってた。だけど、もしかして、それってこれだったの?
 もしもギ酸を使ったフューエルセルが商用に耐え、さらには人工光合成がもっと効率化されるなら、もう電気自動車なんてメじゃないじゃん。太陽が照って、空気がある限り、動力も移動も、いやエネルギー何もかもがOKだよ。
 さらに言うなら、この技術、実験室内で純水を使って、というだけじゃなく、海水でもイケるんではないか、とのこと。

【海水を利用した太陽光水素製造技術の実用化促進に貢献】
https://www.aist.go.jp/.../pr2020/pr20201009/pr20201009.html

 うひゃー、当然ながら日本のまわりは海だらけ。一気に日本は資源国じゃがね。
 あと、なんというのかね、このニュースを聞いたときのイメージがいいね。植物に学んだ。リスク少なく、人に優しい(たぶん)。技術のイメージがマイルドです。
 なんつーのか、核とかと違って、いわば「神の怒りを買わない技術」なんじゃないでしょか。
 ……なーんてことを、私は妄想するのです。
 朝日新聞の取材によると、2030年の実用化を目指しているとのこと。まあこれからクリアしなくてはならない課題はいろいろあるんだろうけど(コストとか効率とか)ナイススピードでやっていただきたいなぁ。政府のカネ入れてもいいじゃん。これ全人類的な大いなる一歩になる可能性があるよ。

■儲かる儲からんの問題じゃないけどさ

 ちなみにトヨタ株。
 うふふ、気になる? 気になりませんか? なりますよね?
 ……わはは、なんだ、このニュースにまーったく反応しとらん。
 友人の経済評論家によると「企業規模に比べればインパクトが小さいのじゃろう。しかし、それよりまあ、これが現在のこの技術の経済的評価なんじゃろうね」とのこと。
 ふむ、そういうものなのかもしれん。そもそも株価って「数十年後がどうなるとか待ち遠しいとか、そういう夢や理想の部分には反映せんからね、今、目の前でカネが動くニオイがしない限りほぼ無意味」ということらしいから。

 でもね、10年後の夢は、夢に終わらんよ……となって欲しいと思う。
 そうだよ、考えてみれば、タイムマシンより、反重力装置より、瞬間テレポートより、簡単じゃん、人工光合成(笑)。それなのに人類に与えられる価値は絶大だ。
 SFみたいなのに、SFじゃない。
 人類の未来、必ずしも暗くはないぞ、久々にそう思えたニュースでありましたよ。

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『逆説の日本史別巻1.ニッポン風土記(西日本編)』井沢元彦著 小学館文庫

 井沢元彦という人は、私にとって、ちょっと特別な作家で、もちろん『逆説の日本史』シリーズにガツンといかれたというのもあるけど、同じTBSに勤めてた先輩でもあるのよね。
 この「別巻」ってのは、日本の歴史を地方地方に分け、それぞれの舞台を検証しつつ、うんちくを傾けるというシリーズで、今まで読んだことなかった。面白い。ストーリーがブツブツなんでまあ本編の方が歴史物語を堪能できるけど、これもこれでいい。旅に出る前に、その地方の話を読んどく、みたいなのはおすすめっす。
 久々に読む井沢節。
 もうアタマにするすると入ってきて、時を忘れて読みふけることでござったよ。

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【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
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「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)


【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社

「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍


【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
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「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
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