『うっせぇわ』への大きなカンチガイの947号

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      『うっせぇわ』への大きなカンチガイの947号

■Ado『うっせぇわ』良い曲だな

 きっぱりとした曲調が気持ちよくて、歌がうまくて、Ado『うっせぇわ』をよく聴くのよ。ちょっと古い話になるんだけどさ。

【Ado『うっせぇわ』】
https://www.youtube.com/watch?v=Qp3b-RXtz4w

 O.K.Googleで流してると、同じAdoの『レディメイド』や『ギラギラ』もすぐに出てきて、うーん、こりゃいいなと思ってる。全部いい。これが18歳? 信じられん。Ado歌うますぎだ。

 先日、NHKのFMを聴いてたら、この『うっせぇわ』を取り上げてた。
 中高年のピアニストがこう言ってた。
「いつの時代も若者は世間に反抗して歌うのですよ、懐かしいですね、この私だって…」
 おやおやおや、お呼びじゃないな、と思った。ココロがちょっとざらっとした。
 さらにこのピアニスト氏、こう続ける。「この『うっせぇわ』は『ギザギザハートの子守歌』のオマージュなんですね(にっこり)ではこのような趣向でどうぞ」
 そして彼は、この『うっせぇわ』と『ギザギザハート』のメロディを交互に取り混ぜて、ピアノで弾き語りフォーユー♪ みたいなことをやってみせた。
 違うだろって。

■歌詞は似てるが、真逆だよ

 確かにね、一見「ちっちゃな頃から優等生」は「ちっちゃな頃から悪ガキで」のオマージュに聞こえるし、「ナイフみたいな思考回路」は「ナイフみたいにとがっては」を思い出させる。
 チェッカーズだよ。そうか、あれのオマージュか…、って思う。
 はたまた「盗んだバイクで走り出すー♪」のアレね。ああいう「理由なき反抗」な若者が、歌のイメージなのかなと。
 ……違うな。まったく違う。このうち後者の尾崎に関してはわかりやすくて、Adoは歌の中で「優等生」で「模範人間」だつってる。優等生や模範人間はバイク盗まないって。

 Ado、というより、この曲作ったshudouってのは、はっきり言ってチェッカーズだのギザギザハートだのを嘲笑ってると思う。おまいらいいよな、お気楽だったよな、分かった分かった、こっち寄ってくんなって、つってる。「ちっちゃな頃から」や「ナイフみたいな」はオマージュ(笑)どころじゃない。いわばおちょくってるわけだよ、大人を。
 何でそういえるかって?
「ちっちゃな頃から悪ガキで」は、悪ガキの次に「エー大人」になってるというのが想定されてる、いや約束されてる。そこに寄っかかってるからさ。

■昔ヤンチャしてました(遠い目)

 ギザギザハートに歌われた、38年前の若い連中はその後、どうしてるか。
 いやー、若い頃はヤンチャやりました。でも、今は女房子供抱えて、真っ当にやってますよ。家のローンもきちんと払ってます。今はなんとか楽しく過ごしてるってとこすかね。あはは。
 そうそう、来月、高校の時の同窓会があるんですわ。もう30年ぶりですかね、もっと前か(笑)。
 一緒にバイクに乗ってたあいつら、元気かな、懐かしいな、またあの頃みたいに飲んで騒ぎたいですね、え? 高校時代に飲んでたって? わはは、言わんでくださいよ、あの頃はヤンチャやってて、悪ガキだったんすよ(笑)。
 ……なーんてね、ちっちゃな頃から悪ガキだった彼には、そういう人生が待ってることになってた。
 だから「悪ガキ」なんだわ。つまり「子供」だ。
 ところが『うっせぇわ』の主人公、じつは子供じゃない。
 クソつまんねぇ上司に「焼き鳥の串を分けろ」「社会のルールだ」としたり顔で言われる「若い大人」なわけだ。
 優等生で、早熟だった。で、ここにきた。もしかしたら何かあると思ったけれど、やはり何もなかった。周囲がバカに見えて仕方がない。だって本当にバカなんだから。そのバカたちが、バカのくせに「おれも若い頃は無茶したもんだ」「ヤンチャだったんだ」と、つまらないメモリーを聞かせる。何度も何度も。
 うっせぇわ。
 そんなお気楽なおまえらに言われたくないんだって。

■絶望と関係性の拒否

【チェッカーズ『ギザギザハートの子守歌』】
https://www.youtube.com/watch?v=JnPzSSjNqMA

 ギザギザな悪ガキたちには、やがて「いやー、若い頃はヤンチャしてましたなぁ」と笑って語れるオヤジな人生が保証されていた。
 でも、今の若いわたしたちに何がある。今の会社に未来があるか? 職業には? 日本の先行きには? そんな難しいことは知らないけど、ひとつ言えるのは、わたしたちは「失うばかりの時代」を生きてきたってことだ。
 ヤンチャ(笑)なんかしてたらドロップアウトして、そのままフリーター、使い捨てられて、這い上がれない人生が待っていたんだって。
 それが『うっせぇわ』。

 私(ヒキタ)はそう確信してる。この曲は反抗の歌なんかじゃないよ。
 反抗ってのは、それはそれで、ある種の「関係性の維持」だからね。
 この『うっせぇわ』にあるのは、ただひたすらの絶望と、関係性の拒否と、刹那の感情だ。
 物わかりの良さそうなこと言わんでいいから、そっちも無視してくれよ、こっちも無視するから、というのが『うっせぇわ』だろう。
 じゃ、大人はどうすればいい?
 まあね「うっせぇ、甘えるんじゃねぇ、四の五の言わず仕事しろ、向こう行って自分のやるべきことに打ち込め、このクソガキが」という程度しかないんだよね。残念なことだけどね。


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『初段に挑戦する将棋シリーズ8 奇襲戦法』森雞二著 創元社

 じつは私、寝る前に将棋の本を読むのが好きなのです。
 藤井聡太二冠の登場で「観る将」が増えた昨今ではありますが、私は「読む将」。で、この森九段という棋士の本は面白いのです。実戦的で定石にとらわれないから。
 子供の頃に、この人の書いた『大人をやっつける将棋』(ワニの豆本)というのを読んだ。
 これが最高でね。考えもしないような手がばんばん出てきて、将棋を指すことの面白さを、私はほぼこの本から学んだといってもいい。本書も(もちろん『奇襲戦法』なんだから)奇手、妙手の連続で、感心しきりだった。
 2017年に引退。
「終盤の魔術師」と呼ばれ、棋聖と王位のタイトルを手にした。
 2009年には史上12人目の800勝を達成で、将棋栄誉敢闘賞をとった。
 そんな森九段であっても、通算成績は1745戦 866勝879敗 勝率4割9分6厘なのである。将棋の世界ってのは本気で厳しいんだなとマジ驚く。


【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
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「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
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「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
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【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
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「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
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