大谷に思う「ザ・コンプリケイテッド・ゲーム」の1064号

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   大谷に思う「ザ・コンプリケイテッド・ゲーム」の1064号

■今年は二刀流の大谷か?

 いやまあ昨今の野球というと、大谷関連かそれ以外か、という、もう大谷ローランド状態が続いているわけですが、今年は二刀流復活かな。スゴいよな、大谷。今季も魅せてくれ(←昭和スポーツ紙的表現)。
 とか言いながら、ふと思うのは「最近の大谷ファン」という存在のことだ。
 というのは、ちょっとだけ疑問に思ってるんだが、大谷ファン、大谷さんステキ、というファンの女の子たちって、野球のルールをどこまで知ってるのかね。ちなみに、うちの子たちは3人とも野球のルールを知らん。驚くべきことではあるが、高中小の3人、高1の長男を筆頭に、みんな知らん。

■ザ・コンプリケイテッドなゲーム

 そりゃピッチャーが投げて、バッターが打って、野手が取れないところにボールが落ちると、塁をまわってヒットとなる、程度は知ってると思うよ(笑)。さすがに。
 でも、それだけじゃない。野球ってスゴくルールの複雑なゲームじゃないですか。

 たとえば、フライを捕球されたらアウト。だがタッチアップがある。タッチアップは捕球までベースについてなくてはならない。しかし、ファールフライの場合はどうか? 野手は取るべきか、走者1塁の場合と3塁の場合は、とか。

 または、3回空振りしたら三振アウト。ところがキャッチャーが捕球できなかったら「振り逃げ」で1塁進塁可、しかし、1塁にタマが戻ってきたらアウト。なんてのもある。ところが、この場合、それが満塁だったら、本塁にタマを戻してフォースアウトもありか、いや、故意落球には振り逃げ適用されない、一方、見逃しでもキャッチャー後逸の場合「振り逃げ」適用OKとか。
 何なんだこの「論理的でありながらも複雑怪奇」なルールは(笑)。こんなの通常はワカランだろう。少なくともプレイしてないと、実感としては絶対にワカラン。

■と、こんなこと言うのは

 というのは、昨年末にとある機会からマンガ『ドカベン』の一部を読んで「うわー、こりゃ高度」と思ったからなんだよね。『週刊少年チャンピオン』連載。大ヒット野球マンガ。今読むとスゴいぞ、あれ。
 野球のルールに精通してないと、まず明訓高校の作戦がワカラン。そもそもストーリーそのものが分からん(笑)。
 ところが、大ヒットした。
 大人も子供も夢中になって読んだ。
 こういう複雑怪奇な野球のルールを、日本人のほとんど全員が知っていた、いや精通していた、というのは奇跡的なことだったんじゃないかと、今となっては思うのよ。

■浜ショーの「シンプルなゲーム」

 浜田省吾の曲にこういうのがある。

【BASEBALL KID’S ROCK (2015 Version)】
https://www.youtube.com/watch?v=_b6jFSG4wbA

いかにも浜ショーらしいアメリカンなロックンロールで私は好きなんだけど、3-06のあたりの歌詞に気になるフレーズがある。

「Baseball KIDS 今もBaseball KIDS 走る 投げる 捕る 打つ、シンプルなゲーム」

 絶対ウソ(笑)。
 野球、全然シンプルじゃない(笑)。浜ショーは、単にロックの歌詞として「シンプルなゲーム」とした方が美しいからそうしただけだ。

 で、一方、思うのは、本場アメリカで、野球人気がどんどん落ちている、という話のことなんだわ。今となっては人気プロスポーツの(よく言って)3番手だそうな。アメフト、バスケ、その次あたり。
 そこにモノを言ってるのは、このルールの複雑さと、試合時間の長さだと思うんだよね。これはおそらく日本でもそう。
 そして、同時に思うのは、このことと、今の人びとが長い文章を読めなくなった、長い時間の我慢ができなくなった(これを糊塗するためにタイパという言葉はある)、長文とともに論理的な思考をすることが苦手になった、ということには連関があるのではないかということだ。
 なんだかね、スマホの存在はこんなところにまで影響しているよ、なんて思ったりして。


【ヒキタ解釈のオススメ本(あるいはオススメサイト) *たまに非オススメあり】

『ドカベン』31巻 水島新司著 秋田書店

 名作『ドカベン』の中でも、この31巻は傑作との誉れ高い巻でありまして、何かというと、明訓高校の重要プレイヤー、岩鬼と、殿間、そして山田と里中のバックボーンが明かされていく巻なのであります。これが、ドカベンストーリーきってのヒールチーム土佐丸高校との死闘の中に練り込まれている。
 うーむ、スゴい。今さらながら感動する。1978年のマンガはたしかに熱かった。
 というか、ちょっと待て、岩鬼、殿間、山田、里中。あと、犬飼、犬神。キミたちはまだ高校生でしょうが(笑)。もう2回も3回も人生生きてきたような深みがあるぞ。ありすぎるぞ。

 2022年1月に水島新司先生は鬼籍に入られました。
 そうか、もう3年も経ちましたか。合掌。


【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/

【好評既刊本】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
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