「レイシスト」という奇妙な言葉についての898号

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    「レイシスト」という奇妙な言葉についての898号

■日本語を読めない書けない議員がいるなぁ(笑)

 コロナウイルスで大変な昨今ですが、それとは別の話。ちょっと前、というか、もう半年ほど前にこんな記事が目についた。経済学者の髙橋洋一さんのコラム。「某議員からレイシスト呼ばわりされたことがあったんだが、よう分からんぞ」みたいな記事で、それ自体はまあ普通のまっとうなものだ。

【髙橋洋一「私をファシスト、レイシストと呼ぶ議員にお伝えしたいこと」】
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68848

 私としては単に、少々アタマの足りない議員さんに対して「ちゃんと本人の主張内容を知った上で批判でも何でもしなさい、もっと勉強しなさい」としか言いようがないんだが、その際に若干引っかかったのだ。
「レイシスト」という言葉自体に関してね。

■「レイシスト」ってなに?

 そういや(特に)昨今いろんなところで聞く。レイシストって言葉ね。
 この語って、単に「差別主義者」みたいな意味合いで使われることが多いんだけど、どうだろう、レイシストって、もちろんraceにistが付いてるわけだから、人種主義者、転じて、人種差別主義者なわけじゃないですか。
 raceとは本来、黒人・白人・黄色人種と、肌の色をはじめとする差、すなわち「人種」ですよね。
 だからして、たとえば日韓のいがみ合いみたいな問題には、この語、本質的にはそぐわないことになる。
 なんというのかね、日本人、中国人、韓国人が、同じような顔をぶら下げながら「おまえはレイシスト(人種主義者)だ!」と言い合ってても、なんだか笑いがこみあげてくるわけですよ。なんだよ、同じ人種じゃんってね(笑)。
 ところが、現在となっては、民族差別にもracistを使う例があるそうで、少々そのあたりは曖昧になってきている。まあね、それについてはいいのだ。語義の拡大縮小、意味合いの転用などは、往々にしてある。言葉は生きものなんだから。
 だが、なんとなくの違和感が消えないわけだ。

■「レイシスト」という語が根源的に含むもの

 その理由をつらつら考えるに、違和感の基本は次の部分にある。
 単に「差別主義者」といいたいならば、別に、ぼんやりした「レイシスト」なんて使わなくてもいいはずなのだ。ただ「差別主義者!」といえばいい。「民族差別」「人種差別」「出自の差別」などと使い分けも簡単で、なおかつ的確だ。
 ところが、使い方に難があるにもかかわらず、あえて「レイシスト」というのは、そこに「レイシストと言った方が知的」「レイシストの方がカッコいい」という意識があるからだ。
 要するに、英語の方が日本語よりも高級、とする意識がココロの奥にある。日本人の日本語よりも、白人さんの英語の方がカッチョいいわけだ。
 あれ?
 これこそが差別。しかもココロの奥底から噴出した抜きがたい差別ではないですか(笑)。
 つまり「レイシスト」という言葉は、それがこうしてカタカナである以上、差別を内包しているわけで、この語を口にするヤカラこそが、本来の意味でのレイシストなわけですよ。
 しかも(情けないことに)奴隷根性方面のレイシスト。
 へいへい、ワタシクは黄色い顔の劣った人種でございます。だから、母国語よりもハイクラスな英語をあえて使わせていただくわけでごぜえます。たとえば「レイシスト」、んまあ、響きからして素敵でごぜえます。
 なんてね。ああ、やだやだ(笑)。
 でも、分かった、これぞ「違和感」の正体。
 だからね、よくよく見てると分かるけど、「レイシスト」をしきりに使う人って、エセ人権主義者みたいな人、多いよ。「ミンクのコート着た左翼文化人」みたいなお方ね。見てみ。
(*ちなみに画像は「霊芝スト」(笑))


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち』松崎一葉著 PHP新書

「クラッシャー上司」といわれてどんな人物像を思い浮かべるだろうか。
 細面で鋭い目、広い額にぱらりとかかった髪、仕事はできるが平気で人を傷つけることを言い…、とつまりある種のサディストみたいな人を思うでしょ。
 どうやら違うのだ。
 そういうクラッシャー上司もいるにはいる。だが千差万別だ。
 意外なことに、面倒見が良くて、エネルギッシュで、笑顔の素敵な(?)クラッシャー上司もいる。でも、自分の考えを四六時中押し付け「自分オリジナルの考え」をすることを許さず、結局、部下がつぶれていっても何の痛痒も感じない。そういうのもいるわけだ。
 または「中二病」「幼児的万能感」を引きずったクラッシャー上司もいる。「歪んだ自己愛と憂さ晴らしのみ」のクラッシャー上司もいる。こうなるとただの精神病だと思うのだが、そういうのが「おれは部下を5人潰して取締役になった」みたいなことをのうのうと言うそうだ。

 ああなるほど、あの人じつは……という読み方が、おそらく本書にはあってる。
 ヒキタ自身「考えてみればおれもクラッシャー上司の下にいたことがあったなぁ」と思う。20代のとき。いやツラかった。ツラすぎて思い出せないんだよ、その2年間のことを。本気で。脳が思い出すのを拒否するの。
 ただ唯一、当時学んだことがある。「こんな人みたいな上司には自分は絶対なるまい」ということだった。

 そういう上司が上に来た際の対処法。おそらく本書を書店で手にとる人の多くは、そこが読みたいんだと思う。それが第四章。基本は「自分自身についてのメタ認知」だ。要するに「自分の認知活動を客観的に把握、認識すること」で、空中に浮かぶもう1人の自分を作ること、なんだろう。だが、それだけでは何のことやら分からない。具体的な方策も多々示してあるんで、クラッシャー上司にお困りの方はぜひお読みあれ。

 ところで、私と同じヘアスタイルで、ロードバイクが大好きで、常にヒルクライム、尾根幹に出没する巨匠SF作家がいますね。彼が書いたスペースオペラのタイトルが??
 はい『クラッシャージョウ』であります。
 一文字違うだけ。「シ」が加われば、じゃじゃん、似ても似つかない「クラッシャー上司」となる。
 そうか、なるほど。著者の松崎さんは高千穂遥ファンなのかな。


【ヒキタ関連Kindle本】
「平成バブル物語 〜60年代生まれのための東京バブストーリー〜」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL

【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878

【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
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