少々ねじれた「ヘルメット美談」の1062号

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     少々ねじれた「ヘルメット美談」の1062号

■12月29日かー

 12月29日、日曜日。年末ですねぇ。今年の年末年始はどこにも行かず、自宅で過ごします。娘(小5)の中学受験もあるからね。
 皆様いかがお過ごしでしょうか。
 明日も休み、明後日も休み。で、正月になっても5日休み、という方も多いことでしょう。私もそう。なんか今年はいいね。子供時代の冬休みみたいだ。

■自転車ヘルメットのことばかり考えてた

 2024年はねー、秋から今までがトンデモなく忙しかったんだけど、その忙しい間に起きた長男の自転車事故が、なんかPP(=パパ=私のこと)の人生をも変えたような気がするのですよ。

【長男の事故に関してはこちらをどうぞ】
https://president.jp/articles/-/88352?page=1

 とにかくヘルメットをかぶろう、と。
 いえ、色々あるのです。自転車ヘルメット着用努力義務の解釈には。
 たとえばデンマークやオランダなどでは、「ヘルメットが必要なほど危険な道路は、インフラにこそ問題がある」といいます。おおむね納得です。またオーストラリアやニュージーランドの例からは「ヘルメットを強制すると(主に女性の)自転車ユーザー自体が減ってしまう」という事実も見えてきます。これも実際にこの目で見ました。その通りでした。
 でも、私としては、現状の日本の道路を考えると、やはりヘルメットはかぶった方がいいと思うのですよね。国からの強制は避けたい。でも自分からかぶろう。それが私の方針です。と、そんなことばかり考えてた、年の瀬でありますた。

■たとえば福岡の例

 ヘルメットというと、たとえば、こういう福岡県の例もあります。まずは短い記事を読んでいただきたいんですが、福岡の中学3年生(事故当時)の話。全体としては「だからヘルメットをかぶろう」という啓発記事です。

【「先生に怒られる」と渋々着けたヘルメット、少年の命つなぐ…自転車での着用は高校生に浸透せず】読売新聞2024/12/26付
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241225-OYT1T50148/

 ね、分かりますでしょ。一見「エー話」なんです。エー話なんすよ。
 いや、一見じゃなくて、本当にこのヘルメットが彼の命を救った。それは事実だと思うのです。
 しかし、それでも「これか…」と、私は疑問に思わざるを得ません。
 なにこれ、なぜ「渋々着ける」という状態が、あたかも美談スパイスのように扱われてるのか。その「渋々」を放置しているのか、そっちの方が問題です。私しゃ九州の公立学校教育の闇を見る思いです。私が九州で育った30年前となんにも変わってないじゃんかよ、と。
 見ての通りの工事現場流用ヘルメット。重い、暑い、蒸れる、臭くなる、カッコ悪い、の5重苦。このタイプを強制されると、その子はヘルメットが嫌いになって、卒業後、絶対にかぶらなくなります。絶対に。だって、見たことありますか? このタイプのヘルメットをかぶり続けている大人を。
 その結果、九州(なかでも私が育った宮崎)は、全国的に見てもヘルメットの着用率がヒジョーに低いわけです。
 それなのになぜこれを続けるか。業者との「癒着」とまでは言わないけれど、業者を替えるのが面倒くさいんですよね。ただそれだけ。マジで。エー加減にしろ、と、思います。
 自転車には自転車用のヘルメットを。
 軽くて、空気が通って、汗がこもらず、かぶってることを忘れる、見た目に粋(イキ)。
 あるんですよ、今はそういうのが。数千円で。


【ヒキタ解釈のオススメ本(あるいはオススメサイト) *たまに非オススメあり】

大阪府警『いのちを守りたい… ~自転車ヘルメットが当たり前の世の中に~』 https://www.youtube.com/watch?v=_RZFaygA020

 大阪府警はこのところ、ちょっとだけ気合を入れて「コドモもオトナも自転車ヘルメット」キャンペーンをやろうとしています。じつは私の長男の事故も、大阪府議会で取り上げられました。
 このビデオも一連のキャンペーンの一環です。
 ……が、ちょっと長すぎる。マジ長い。この内容であるなら、どんなに長くても6分、7分におさめるべきです。
 それなりに手もかかってるし、ひとつひとつのエピソードは重くて学ぶところが多いのに、これじゃ見てもらえません。こういうのはプロの言うことを聞いた方がいいです。


【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/

【好評既刊本】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
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