吉祥寺のコメダ珈琲から937号

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         吉祥寺のコメダ珈琲から937号

■コメダ珈琲に入る理由

 小6と小4のちょっとおばかな息子たちがいるもので、このところ週末になると、パパひとりコメダ珈琲に入ることが多いわけです。何のことかと言いますと、小6息子は中学入試、小4息子は模擬試験でありまして、「近所でパパ待機!」の話。

 試験会場に、早朝、送って行って、試験が終わるまで、近くの喫茶店で待つ。で、コメダ珈琲に入る。これが私のこのところの黄金コースでありましてね。
 小6長男に関しては、すでに受験シーズンが始まったにもかかわらず、あいかわらずのほほんと『鬼滅の刃』とか読んでるんで、パパとしては、ぐおらー、おまいは、いい加減に勉強しろー、もうこうなったら、あそこも受けろ、ここも受けろ、と「数撃ちゃ当たる」方式に切り替えざるを得ず、実際にそうしてるわけですよ。
 だから、週末ごとに受験。
 昨日なんて埼玉県の大宮まで受けに行った。

 今日(成人の日)は、次男の四谷大塚のクラス分けテスト。で、吉祥寺。で、コメダ珈琲。
 次男はもう、長男に輪をかけておばかなんで、このクラス分けテストで「最下位クラス脱出!」を狙わねばナランというわけ。
 最下位クラスですよ…、最下位クラス。あー、情けなや:.。.:゜(@∀@;)゜:.。.:

 それにしても不思議なのは、この子たちのパパとママは、ともに田舎の秀才くんと秀才ちゃんで、勉強しろなんて一言もいわれなくとも勉強できたよ、というタイプだった。はず。
 それなのに、この子たちのおばかぶりはいったい何、誰に似たの、と、パパとママはともに責任を押し付け合ってるわけですが、あー、いや、おバカな愚痴でありますた。

■で、コメダ珈琲だ

 で、昨今、東京にも増えたコメダ珈琲ですが(元祖はご存じのとおり名古屋ですね)こりゃいいね。こりゃヒットするのも当たり前。
 なんだろう、すべてのバランスがとれてて非常にカンファタブルなのだ。
 ひとつには、ソーシャルディスタンス、といいますか、それ以前のパーソナルディスタンスがきちんととれてて、何となく居心地がいい。
 ふたつめに、強力な無料Wi-Fi電波が飛んでて、パソコン開いてて、ストレスがない。画面上は家にいるのと同じだ。もちろんクレジットカード番号とかは流さないけどね。
 三つめ、それぞれの席にコンセント(またはUSB端子)が用意されていて、充電に不都合がない。
 そして四つめ、これはちょっと意外なことだけど、コメダは普通に言って、コーヒーがおいしい。
 これは大きいよ。私しゃ必ず「たっぷりブレンド」ってのを頼むんだけど、残したことがない。朝入ると、これに名古屋名物モーニングセットがついてくる。朝じゃなければコメダ豆がついてくる。
 だからして、息子らのテスト待ちの間、私はこうしてコメダに居座り、パソコンを叩いてるというわけ。コメダで雑誌原稿、もう何本書いたことか。あー、仕事がはかどる(笑)。刹那の快適(笑)。
 じゃが、この快適な時間が終わって次男を迎えると「できたか?」「ううん」の会話が待っていて、現実を知らねばならぬ(笑)。


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『移動貧困社会からの脱却』楠田悦子編著 高齢者事故からモビリティを考える会執筆 時事通信社

 さて、前々回に予告してた本書。
 例の池袋“元院長”事故から出発して「高齢者の移動」というものの本質を考える本なんだけど、高齢者のモビリティということに関して、考えてみれば、なぜ「今」なのか。
 モータリゼーションの進展からすでに半世紀が経つというのに、今になって問題が顕在化している理由は、どうしたって少子高齢化だ。
 それは現在の地方を直撃している。
(1)高度成長以降、地方の移動はクルマに頼りすぎてきた、と、これはどうしたって事実だ。
(2)そして「一度都会に出たかつての若者たちが、多くの場合、二度と地方に帰ってこない」という事実が、その地方モータリゼーションを甚だしく劣化させている。「家族タクシー」が成り立たなくなったからだ。

 地方で自転車講演などをしているとよく言われる、というか、必ずいわれるセリフに次のようなのがある。
「疋田センセの御説はごもっともです、自転車はいいですよね、エコだし、健康にもいいし、経済的だし…、でも、我が◎◎市(または××県)は、クルマ社会ですからねぇ」
 いえ、別に◎◎市や××県に限った話じゃないのであります。
 首都圏と、近畿圏の一部を除くと、日本のすべてがクルマ社会。どこでもそう。だからして、高齢ドライバー問題は大問題となった。
 困ったことに、そして誰もが言うように、その対応策は非常にむずかしい。
 バス? 鉄道? これ以上赤字路線を増やせってか?
 本命は自動運転? それまで何年かかるんだって。
 じゃ、乗り合いタクシー? これはちょっとだけグッドアイデアに聞こえるけれど、じつは地方では老老介護のような状態に陥るのだという。何かというと「乗り合いタクシーを考えざるを得ない状況の地方」では、乗り合いタクシーは確実に「高齢ドライバーが、もっと高齢の(もはやクルマを運転できないレベルの)高齢者を運ぶ」という状態になるのだという。
 高齢者の移動問題に何らかのブレイクスルーが生まれるには、相当な時間がかかる。これは誰でも分かる事実だろう。しかし、高齢ドライバーによる重大事故は今現在の問題であり、これ以上放ってはおけない。

 では、どうすれば?
 結局、もっとも現実的で、もっとも簡単、かつカネがかからず、本人にとっても周囲にとってもハッピーなのは、自転車なんではないか、ということが分かっていただけると思う。
 誤解して欲しくないんだけど、これは「クルマに乗れなくなったら自転車にどうぞ」という話じゃないのだ。完全にクルマに乗れなくなったお年寄りは、自転車にも乗れないから。
 それより前に自転車に慣れておく必要がある。いつか来るその日のために、自転車に馴染んでおく。そして「こりゃヤバい、おれもアクセルとブレーキ踏み間違いかねないぞ」ということになったら、自転車に移行していくわけだ。
 ところが、ここに意外な「嬉しい副産物」を発見する。
 自転車に乗り始めると(確実に)健康になる。健康寿命がのびる。おれもまだまだイケるということになる。
 サイクリングがちょっとした趣味、なんてことになったら最高だ。ママチャリでも何でもかまわない。三輪の電動アシストみたいなものも、ある意味、理想像のひとつだと思う。

 私は「65歳になったら少しずつ自転車に乗ろう」みたいなスローガンがあればいいなと思ってる。それがドイツの格言「トラック1台分の薬より1台の自転車」みたいな感じで広まるといい。
 少しずつ自転車に慣れ「その程度なら自転車でOK」と考えるようになれれば、しめたものだ。
 そうなると、健康寿命がのびるだろうし、その結果、免許返納の年齢も上がるかもしれない。なにより自分の脚で、ある程度の距離を移動できるというのは、その人の気持ちの若さに結びつくだろう。
 このメルマガをお読みの方であれば誰もが知ってる事実がある。
 自転車に乗る人は、必ず実年齢よりも若く見える。そして実際に若い。

 本書の共著者のひとり内海潤さんも言っていたが、最終章(第4章)の結論はほぼここにあると思う。MaaSだの、スローモビリティだの、アプローチ法は様々あろうが、それぞれ根本的な問題を抱えている。とりあえずのところ、一番バランスのとれた結論は、自転車(と自転車の派生形)であり、それが一番現実的なのだ、と。


【ヒキタ関連Kindle本】
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
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「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
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【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
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「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
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【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
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