「魔法のペットボトル」の1029号

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        「魔法のペットボトル」の1029号

■「南アルプス天然水」

「水」売ってるじゃないですか。ミネラルウォーター。スーパーやコンビニに。
 あれ買ってますか?
 ウチのカミさんは買ってる。料理につかう水は全部サントリーの「南アルプス天然水」だ。
 うん、私も昔は「南アルプス、うまいね」と思ってた。他のブランドに較べて、なんかクセがなく、ほんのーり甘めで、素直な味、という気がしてね。
 ところが、昨今で言うと、東京の水道水だっておいしいわけだ。

【東京みやげに東京水。】
https://www.arukikata.co.jp/web/article/item/2191768/

■昔はマズかった

 昔はマズかったのですよ。東京の水道水は。
 私が小学生のとき、オヤジが勤める銀座とかに家族で出て行って、どこぞの食堂に入って、最初に出てくる水は透明コップに入れられて、もちろん常温だった。
 昭和48年とかそこらだったかな。まだ高度成長のシッポを引きずってる頃。いや、石油ショックの頃か。
 …本ッ気でマズかったのよ。
 カルキの匂いばかりが気になって、ガキンチョだった当時から「なんだよこれ、ぺっぺっ」と思ってた。なかでも銀座の水のまずさ。三鷹(当時住んでた)よりも銀座の方が明らかにクサくてマズかった。
 でも、考えてみれば、その頃の料理って、全部その水道水をつかっていたわけで、料理も…、うん、玉石混淆だった。というか、マズい料理店の方が多かったかもしれないな。
 そうか、ひるがえって現在の東京の飲食店がどこに行ってもキッチリおいしいというのは、このあたりに理由があるのかも。

■東京水がおいしくなった理由

 東京水道水がおいしくなった理由は単純で、浄水技術の格段の進歩、「高度浄水処理」によるものだそうだ。 
 何が「高度」かというと、通常の浄水処理に加え、オゾンの強力な酸化力と生物活性炭による吸着機能を活用したところで、これによって、最後に残った「微量のトリハロメタン」「嫌な臭い」「有機物」をほぼ除去することができたのだそうな。

 日本と同じように水道水が直接飲める国は意外と少ないんだけど、その中のひとつ、オーストラリアで水道水を飲んだことがある。
 マズかったよ。というか、懐かしかった。シドニーの水は昭和40年代とは言わないけれど、昭和60年前後(私は大学生)の頃の水の味がした。

■というわけで、水バトル

 そんなわけで、今や私は完ッ全に「水道水で十分だ」派となった。
 ところがカミさんは「南アルプス天然水」をケース買いする。
「ムダだってば、味なんて差はないって」と,私は言うが「南アルプスの方が絶対においしい」と頑なに南アルプスだ。
 ふーむ…。
 じつは水の味を一番左右するのは温度だそうだ。「キリッと冷えた水道水はぬるいミネラルウォーターに勝る」というのは誰もが経験したことがあるだろう。

■「魔法のペットボトル」登場

 ということで、私は「南アルプス天然水」のペットボトルに魔法をかけることにした。
 魔法のかかった南アルプスペットボトルは、夜中に、なぜか水量が増えていることがあるという。
 というより、使っても使ってもなくならない、飲んでも飲んでもなくならないミラクルなペットボトルだ。

 うちの長女(小4)によると、夜中にこっそり海坊主のような妖怪が出てきて、なにやら蛇口から水を注ぎ足しているのを目撃したという。
 娘よ、それは幻だ。おそらく寝ぼけていたのだろう。


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

「武富士 サラ金の帝王」 溝口敦著 講談社+α文庫

 2017年に完全消滅した消費者金融最大手「武富士」社長・武井保雄氏の一代ピカレスクロマン。
 昼下がりの団地妻を相手とした「団地金融」から始まり、サラ金と呼ばれ忌み嫌われながら、消費者金融として巨大化していくまでが、本人インタビューなども交え、縷々つづられていく。

 こんなに悪辣だったか、と不愉快に思いつつも、でも面白い。
「こんな人生もあるのか…」と驚く。必然的に「自分だったらどうするか」と思う。「こんな悪いことできないよ」「サイテーだ」と思いつつ、逆に「ここまでの度胸はないな」「思い切りはできないな」とも思ってしまう。
 変な意味で感心したのは、この人の座右の銘、というか交渉の三すくみノウハウだ。

「右翼は暴力団に弱い。暴力団は警察に弱い。警察は右翼に弱い。この三つをうまく使って物事を収めろ」

 本書は、武井氏がスキャンダルにまみれながら死亡する前に刊行された。
 だから「こんなにワルイヤツが今でものさばっている」というテイストの終わり方となる。
 だが、著者の溝口さんも「文庫版のまえがき」で触れている通り、このあと武井氏は「ジャーナリスト宅盗聴事件」を起こし、武富士会長を辞任、逮捕、その後76歳で死去した。
 過払い金訴訟ほかで、消費者金融が次第に立ちいかなくなり、つい6年前に武富士は完全消滅した。


【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/

【好評既刊本】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
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