「テレビがオワタ年」の1009号

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         「テレビがオワタ年」の1009号

■2022年に「テレビがオワタ」

 突然なんですがね、昨年末、というか2022年という年は「テレビがオワタ年」のメモリアルイヤーとして歴史に刻まれるんではないかと、そんな気がするのです。
 このところテレビが徹底的に嫌われているなというのは、もう身に沁みて分かってるし、視聴率もつるべ落し状態、それも分かってる。でも、そんなことじゃない。2022年には2つの大きな出来事があったから。

■ひとつめはW杯

 ひとつめはもちろんサッカーW杯だ。
 多額の放映権料に恐れをなして、地上波テレビの半分は「それならやめた」と手を引いた。でも、それまでならば、こういうのも交渉術のひとつだったわけだよ。JAPANコンソーシアムを通じて「高いですね」「高いですか、じゃ、ま、この程度で」「うーん、この程度なら、NHKと民放の折半で、民放分は4か5で割って…」ということになった。
 ところが、今回の場合、ABEMAが「ウチが出す」と半分を持っていったわけだ。そして蓋を開けてみたら、その評判が良かった。
 それまでのテレビというのは、やはり「大資本!」と「場数を踏んだノウハウ!」の強みがあって、要するにカネの力で強力なコンテンツを買い、スポンサーはその拡散力に期待した、というのがあった。
 ところが今回は違った。テレビじゃないネット企業がそれだけの額を出し、全国放送を十全な形で出した。多くの人に「なんだテレビじゃなくてもできるんじゃん」と思わせた。

■もうひとつが“Colabo”

 もうひとつが“Colabo”だ。じつは私としてはこちらの方が大きいと思ってる。
 若年女性支援団体を称する“Colabo”には、国と都から多額の公金が入っていた。ところが、その“Colabo”をめぐって不透明な会計の数々が噴出する。暇空茜さんという一般の男性がそれを次々と暴き、続々とアヤシいカネの動きが明るみに出た。
 東京都さえも、暇空氏の住民監査請求に応じて「不当な点が認められる」と“Colabo”に事業の再調査を命じた。いまや“Colabo”だけじゃない。“Colabo”関連の3団体ばかりか、そこにカネを出した国や東京都、赤い羽根共同募金などなどの、アマアマ審査や、その後の監査の杜撰さなども問題となり始めた。
 税金の行き先や、善意の募金の行き先が、政治団体の活動費や、アヤシい韓国旅行や沖縄旅行に消えている疑惑が濃厚となったわけだ。
 ところが、地上波テレビ局がこれを一切やらない。完全に無視。
 どうなんだ、これ。どこからどう見ても報じるべき事象だろうに。
 我々が払った巨額公金の不透明な行方だぜ、スゴく大切な話だ。しかも視聴率だって絶対にとれる。「疑惑の税金使い道」「募金の善意が反故疑惑」「出てくる人のキャラ立ちまくり」「支援牧師のおクスリ逮捕」「支援公党幹部の盗撮逮捕」「毎日展開する新しい疑惑」…これこそ、ザ・ワイドショーネタでしょうに(笑)。

■テレビは「網羅」していない?

 なぜ報じないか。推測する部分はなくはないけど、私は言わない。
 ただ、このテレビ各局の姿勢を一般がどう受け止めたかは想像に難くない。
 というのかね、何となくテレビニュースって「そうは言ってもすべてを網羅してる」と、みんな思ってたじゃないですか。ネタによってバイアスはかかる、角度はつくだろうけど、それなりに世の中に起きている事象をとりあげて殊更に(コトサラに!!)騒いできた、という「実績」だ。
 テレビってのは「(かなり歪んでるかもしれないけど)社会の鏡」「いちおう全部やってる」それが一般の認識だったんじゃないか。
 ところが、今回は完無視。
 あ、そうなんだ、テレビってのは「社会の鏡」じゃなかった。ホントに知りたいことを報じないメディアだったんだ。それが完全無欠に白日の下にさらされてしまった。

 それが2022年末。
 おそらく今年2023年は、2022年に輪をかけてテレビ離れが進むだろうよ。
 テレビ各局が、それまで曲がりなりにも培ってきた信頼(テレビはきっと大騒ぎしてくれる)みたいなものを、全力で投げ捨ててしまったんだから当然だろう。
 自殺行為だったよ。残念なことだな。でも事実だ。


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『変な絵』雨穴著 双葉社

 ネットの中では知ってた、怖くてどこかかわいい「雨穴」さん。
 紙の小説では、はじめて読んだ。
 面白かったよ、スゴく。最初は1話1話の短編かと思ってたら、次第に全部がつながって時代と場面を跨いだひとりの悲しい女の物語になっていく。
 思うに、この小説は、松本清張バリに細部を書き込み、もっとリアリティを持たせていけば、ミステリ史に残る大長編・大傑作になったのではないか。
 これは雨穴さんの別の作品についても言えるけど、この人のアイディア・プロットはまさに天才のそれだろう。ただ、惜しむらくはその天才的アイディアが、ポンと素のままでおかれてることだ。なんとかうまく肉付けすれば、誰もが驚く大傑作を連発できるだろう。
 ちなみにYouTubeで公開されている『変な絵』は一部に過ぎない。紙の本書を読むとすべてが解けて「なるほど」と思うと思うよ。


【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
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「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
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【好評既刊本】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
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「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
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「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
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「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
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