新聞椅子取りゲームの916号

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          新聞椅子取りゲームの917号

■前号のつづきで新聞攻防戦

 このところ、メルマガが滞っておりますが、みなさまお元気ですか。
 と、そういうわけで、新聞紙がなくなる、ひいては新聞がなくなる危惧の前号でありましたが、どうなんだろう「そもそも全国紙の数が多すぎる」と、誰もが思い始めているのが昨今ではあるまいか、なんて思うわけだ。
 地方紙はそれぞれ別事情があって、それぞれに強みや弱みがあり、需要があったりする。
 しかし、全国紙(一部ブロック紙)はなぁ。
 ……でね、ここからはまったくの憶測なんだけど、昨今、新聞の論調が少しずつ少しずつ過激になってきているのは、そのあたりに理由があるんではないかと、私はにらんでいるのよ。
 特に「東京」と「毎日」。

■椅子取りゲームに勝者はいない

 現在の首都圏の新聞事情って「どんどん少なくなる椅子を奪い合う椅子取りゲーム」に例えられると思うわけ。
 宅配の新聞をとっている、という世帯は今や減る一方だ。もはや高齢世帯しか新聞をとらない。その高齢世帯が日々減っている。
 駅売りの新聞なども惨憺たる有様だし(みんなスマホで忙しい)コンビニの新聞スタンドなんて、注意して見てると分かるよ。朝、スタンドに並んでた新聞が、夕方もほぼ同じ数、残ってる。
 なんてこと。
 私としては(本気で)寂しさつのるばかりなんだが、状況に変化はない。
 でね、毎日新聞と東京新聞(首都圏)が、このところ「ヒステリックなまでに市民派」でしょ。あれこそが椅子取りゲームの必然だと思うわけ。
 イデオロギーの路線を次の5つ、つまり(1)保守、(2)穏健保守、(3)中道、(4)穏健革新、(5)革新、に分けるなら、それぞれ座るべき新聞社は、順番に(1)産経、(2)読売、(3)日経、(4)朝日、だろう。ホントに穏健か? とか、中道か? とか、異論はあるだろうけれど、順番自体はまあ妥当なところだと思う。
 そして、問題はラストの(5)革新だ。
 ここだけ椅子はひとつしかないのに、その椅子を狙ってる新聞が2つある。
 で、その椅子はじつは小さい。その一番小さな椅子を毎日と東京が取り合ってる。

■原発であてた先例

 じつはここには伏線があって、9年前の大震災以降、東京新聞が「過激な反原発」を打ったわけだ。
 他紙が大なり小なり「電力、地元の振興、なにがしのしがらみ、色んな事情がありながら、しかし、総合して反原発(あるいは親原発)」というインテリ的路線をとる中、東京だけは「とにかく反対」「放射能恐い」「原発ゼロへ」と、問答無用の姿勢に徹した。
 インテリ路線をかなぐり捨て、旗幟鮮明にしたわけだ。
 ところが、これがウケた。
 各紙、構造的に部数を減らす中で、東京新聞の反原発路線は部数微増につながった。いや微増つって、全体が激減する中だから、大勝利だったわけですよ。
 この反原発が反体制路線になり、その後の政権交代で、人権的、左翼的、そしてある意味プロ市民的になった。
 それを見て焦ったのが毎日新聞だ。

■最後の椅子はどちらに?

 毎日新聞といえば、日本最古の日刊新聞であり、三大新聞の一角だった。しかし、昨今の部数減に歯止めがかからない。同じ左派3紙の中でも、王者・朝日の背中は見えなくなっていくばかりだ。
 そこに東京新聞の路線。「ヒントはここにあり」とばかりと同じ路線に飛び込んだ。
 それまでの「議論ある新聞」路線を捨て、ラス1の革新椅子を狙うことにしたわけだ。
 もちろん両紙、エッジをきかそうとする。その必然で、だんだん「けっこう革新」になり「スゴく革新」になり「ウルトラ革新」になってきてる。もう路線はエスカレートする一方で、もう両者チキンレースなのだ。今や朝日がマイルドに見えるくらいだよ。
 というわけで、今この2紙を読んでみると(特に東京は)赤旗とあまり区別がつきませんぜ。
 うーん、そのうち「ですます調」になるかもしれん。


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