一番の昭和オヤジはマスメディアではないのか?の917号

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    一番の昭和オヤジはマスメディアではないのか?の917号

■奇妙な世論調査結果

 ほんとにもう意気のあがらない連休ですが、みなさまいかがお過ごしですか。私ヒキタは、パパ部屋のオーディオをいじりながら過ごしてます。子供は塾。カミさんはメレンゲお菓子作り中。
 なんだか家ごもりが板についてきた。
 ……と、それはさておき、今日NHKで奇妙なタイトルのニュースが流れた。

専業主婦の4人に1人 夫の在宅勤務「望まない」 研究機関の調査(2020年7月24日 4時53分)

 新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が普及する中、「夫がずっと家にいることで家庭不和になる」などとして専業主婦の4人に1人が夫の在宅勤務を望んでいないことが、民間の研究機関の調査でわかりました。
 明治安田総合研究所は先月、0歳から6歳までの子どもがいる男女1100人を対象に、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう子育ての意識の変化についてインターネット上で調査しました。(以下略)

【NHKのニュース全文はこちら↓】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200724/k10012530441000.html?fbclid=IwAR2r4REoRPlGRbIhVwq6nKc6lHvYC9yttHILodU_0yYSG_6PteubdvAIsh8

 うーん、そうか。やはりダンナが家にいると鬱陶しいんだろうなぁ……、と思った人、手をあげてー。うん、そう思うでしょ。最初私もそう思った。だがね、ニュース全部を聞いてると、タイトル以外は、そんなにネガティブじゃないんだよ。おかしいな、では、元ネタに当たってみようか。

■じつは4人に3人が「望んでる」

 明治安田総研の元データに当たってみると、こうだ。

【今後も夫にテレワークを望むかどうか(テレワークをした夫をもつ専業主婦回答)】
 望む …75%
(この↓リンク先の7ページ目参照)
https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2020/pdf/20200707_01.pdf?fbclid=IwAR01oVI6LPaKNHfgi9E8XKs_h9m3hxMKCp4nQwlwPpyQrKIxDDVPjNDWI_A

 はあ? 大多数の専業主婦にとって「夫のテレワーク歓迎」なんじゃん。
 これってものすごくミスリードだよなぁ。そりゃNHKのタイトル通り「25%が望んでいない」は事実は事実だよ。本文にある通り「夫がずっと家にいることで家庭不和になる」と答えた人もいたにはいたんだろう。
 だが、そのことが全体傾向を表しているかといったら、まったく違う。
 実態は「75%の専業主婦がダンナのテレワーク歓迎」なのだ。

■マスメディアの「昭和男」な論理

 では、NHKの見出しが、なぜこうしたものになるか。
 簡単だ。この記事を書いた記者とデスクがこう考えていたからだ。
「亭主元気で留守がいい」ってかぁ? やっぱそうだよな、ダンナは家に居場所がないからなぁ。仕事仕事に明け暮れて、妻も子供も冷たいよ、それが日本の亭主族、ああ、情けない情けない……。
 とね、そう書かなきゃマスメディア的コレクトに反する、という強固な思い込み。
 こういう「今さら昭和男」な思考形態、固定観念が、まーったく変わらないわけだ。

 まず固定観念ありき。在宅テレワーク? そりゃダンナが家にいちゃ鬱陶しいだろ? そうだろそうだろ、という先入観があって、どんな結果が出ても、当初のイメージに当てはめてしまうってわけ。だからこんな事実無視のタイトルになる。
 いやはや今さら世界観が、青島幸男かよ、クレイジーキャッツかよ、と思うが、実態はそんなもん。こういうのってなんか「大したことないニュース」に顕著でね。似たようなこと言うと、火事は必ず「折からの強風に煽られる」し、貴金属強盗は必ずシャッターを「バールのようなモノでこじ開ける」し、事故現場を訪れた遺族は必ず「悲しみを新たにする」わけだ。
 まあ上記の火事や強盗や遺族については「マスメディアの決まり文句」というだけで、まだ許せるが、今回のこれって、じつはものすごく根深い問題を抱えてるんではあるまいかと思う。

 今回のこれはテレワークだからまだいい。
 これが「憲法改正」なら? 「敵基地攻撃」なら? 「習近平国賓来日」なら?
 ●●を望んでいない人が25%であることが分かりました。
 ……で、75%がじつは望んでいたりしたら(または逆)怒るでしかし(by昭和の横山やすし)。


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『孤独死のリアル』結城康博著 講談社現代新書

 現在、独り暮らしの高齢者は600万人以上いるそうだ。
 そのうちの少なからざるパーセンテージは「家で独りの最期」を迎える。
 そのリアルな様子、プロセス、周囲のとらえ方、対処の仕方、を6章にわたって冷静な筆致で書いていったのが本書だ。
「死」ということを語るのが根源的にむずかしいのは、こんなに峻厳な事実であり、誰にでも必ず訪れるものであるにもかかわらず、当該現象の「本人」と「他人」の捉え方に180度のズレがあることだ。
 死は、本人にとっては、それにて終わりであり、自分とともに世界の消滅だろう。ところが、他者にとっては、ヘビーではあるもののあくまで日常の出来事であり、その後も世界は続くわけだ。
 このあたりのズレこそが孤独死を扱う際の最大のハードルだ。
 死は究極の個人的事象であるにもかかわらず、それが来たときには、本人は知らない。死の扱いはあくまで他者によるものだ。
 本書で述べられたことをいろいろ考えていくと、最終的には「死は誰のもの?」という疑問に行き着く。
 死は誰のもの? 本書の答えは「社会のもの」だ。
 それを言える人はえらいな、と思う。おそらくそういう人たちによって、我々の社会は曲がりなりにも正常に動いているんだろう。


【ヒキタ関連Kindle本】
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
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「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
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「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
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「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
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「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
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