往年の名機スピーカーYAMAHA「NS-10M」に凝る918号

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     往年の名機スピーカーYAMAHA「NS-10M」に凝る918号

■スピーカーの話なんですけどね

 暑いね。とまあそれとは別に、かつて日本のオーディオ会社が世界を席巻してたとき、YAMAHAのスピーカー「NS-10M」(通称:テンモニ)ってのが大ヒットしたことがありましてね。世界中のどこのスタジオにもこのテンモニが置かれていた。
 いわゆる「モニタースピーカー」。
 何がそんなにスゴかったかというと、特性がフラットで、飾りがなく、定位がしっかりしていて…、要するに音色にウソがなかった。
「ウーハ(低音スピーカー)のコーン材料が手に入らなくなった」ということで、すでに生産は終了してしまったけれど、現在でも数多くのスタジオで現役だ。

【英語版のWikipediaにも】
https://en.wikipedia.org/wiki/Yamaha_NS-10

 生産終了が2001年。しかし現在でもこの「往年の名機」にこだわるエンジニアは多い。
 その理由は、あたかもそこに歌い手がいるように聞こえる、という聞こえ方もさることながら「テンモニできちんと聞こえれば、すべてのスピーカーで大丈夫」という定評があるからだ。だからこそレコーディングスタジオで採用され、テクニカルディレクターの一番近くに鎮座してたってわけ。

■今まで音は何だったんだ

 で、そのテンモニが、何をかくそうパパ部屋(つまり私の部屋)にもありましてね。
 学生時代に買った。
 つまり、もう30年以上前の製品なんだけど、今でもまあまあいい音。FMラジオなんかつけてると、パーソナリティがそこにいるみたいで、おや、良いな、こういうところがタマランな(笑)なんて思ってた。
 ところが、先日、ヘンなキッカケから、このスピーカーのネットワーク(スピーカー内の高音低音分配器)を交換してみたんですよ。ネットワークの中の電解コンデンサーがもうバカになってるよ、とか、オーディオマニアの知り合いに吹き込まれましてね。
 替えた。
 すると…、あが、驚いた。
 何というのかな、迫力が変わったというか、音像が豊かになったというか、こりゃあなた、全然違いますがね。
 なにやら、音に色がついて、そこに音があって、手を出したら触れられる、みたいな感じ。
 でね、あれまー、こりゃいいねと思いながら、だとしたら、今までの音で満足していた、過去の日々はいったいなに? と思うわけですよ。だって、つい最近まで、それまでのテンモニだって十分音がいいぞって満足してたんだからね。でも、電解コンデンサーを替えてみたら一聴瞭然。

■これだけですむわけがない

 あがー、モノというのは劣化するんだねぇ。おそらく30年以上前の音は(今聴いてる)これだった。
 でも、毎日少しずつ少しずつ劣化して、自分の耳も、そのことに慣れて、劣化するのと同じスピードで許容していったわけだよ。
 なるほどー。
 それにしても、音が豊かになった、低音がキリッとした、ボーカルが伸びやかになった…! なーんて至極満足していたのも束の間、すぐに慣れてしまった。初期の感動はどこへやら、いつしかこの音こそが日常になってしまって、今ではこれが普通。うーん、満足だけど、つまらん。
 で、なんだか「次の感動を得たい」「音が良くなる次の一手は何かないか?」と思って、色々探した。すると、一番お手軽で、なおかつ効果満点なのは「インシュレーター」だということが分かった。
 インシュレーターって?
 なに、話は簡単で、単にスピーカーを置く台のことですよ。
 いままでただのガラスキューブ(3cm立方程度×3コ)の上に載せてたんだけど、これをオーディオテクニカ製の専門スピーカー台(金属+ゴム)3コの上に載せた。
 すると…、これまた、あが、驚いた。
 音の雑味が消え、定位(どの楽器がどこにあるか)が安定し、これが同じスピーカーか、と思うほど音が変わった。ただの台なのに。
 だが、これ以降の経緯は「以下同文」なわけ。すぐに慣れてしまう。

■我々は「修羅の道」を行く

 前々から知ってたけれど、オーディオ趣味は修羅の道だな。ほんとに終わりがないし、すぐに自分自身の耳が「音の贅沢」に慣れてしまう。
 しかも、最初のうちであればレベルアップは安くすむものだけど、グレードが上がれば上がるほど、2倍も、3倍も、いや10倍、20倍かけないと最初の感動は得にくくなってくるわけだ。

 ……お気づきの通り、これ、じつは自転車趣味と同じでね。
 思い起こせばママチャリからクロスに乗り換えたときはチョー感動したじゃないですか。軽い! 速い! なにこれ、同じ自転車と思えない! って。その後、クロスからロードに乗り換えて、これまたフツーに感動してね。で、その後、値段が倍くらいするカーボンフレームものに乗り換えて、うーん、違うな、まあまあ感動。さらにその次「うーん、さすがはデュラエース」とか言いながらそこそこ感動、でも、感動の度合いは下がってきてるわけですよ。
 その一方、いつの間にやら、価格はブレードアップ代は、ウン十万円オーバーなんてことになってきてる。ひとことで言うと「カミさんに言えない額」(笑)。
 ああ、自転車趣味の道も修羅の道だなぁ。
 ま、あらゆる趣味はそうなのかもしれないけどね。


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『2050年 世界人口大減少』ダリル・ブリッカー、ジョン・イビットソン著 倉田幸信(訳)文藝春秋

 え、ちょっとマジすか、これほんとのホントなの? 世界的に人口は減少するの?
 我々日本人は、ともすれば「日本は特別に人口が減少していて、こんな国は世界のどこにもあんまりなくて、今後、日本だけが地盤沈下していくのだ」と思いがちじゃないですか(日本の人口減に関してだけはもちろん正しい)。
 ところが、本書によると、それはかなりの誤解を含んでいるという。
 日本だけが特別というわけじゃないのだ。
 今後、欧米諸国も自然減に陥り、中国も一人っ子政策の結果として激減するという。うーん、そうだった。でも、そりゃ日本と先進各国、あと、中国(特に中国)の特殊事情でしょうが、と。
 ところが、違うのだそうだ。インドも、これから経済発展期を迎えるアフリカ諸国(まだ迎えてもいないのに)、宗教的制約がいろいろある中東諸国においても、出生率はやがて低下していくという。その時期は2040年から2060年にかけて。
 その理由はといえば、各国での都市化の進展と、女性の解放、そして(個人的にはここが一番驚いたんだが)宗教的影響力の低下が、人口減少という結果を生み出すのだという。
 うーむ、そうなのか。
 これが本当なのか、そうでないのか、私にはちょっと結論を出すための知識に乏しいんだが、読んでる分には正しい気がしてくるわけだ。
 となると、…どうだろう。日本を含む欧米先進国などで、今は「移民はお荷物」「排斥」みたいなことをやってるわけだが、今後、その移民こそが「宝」になる可能性がある。
 曲がりなりにも先進国の中で、その移民を大量に受け入れている唯一の国アメリカは、今後、人口減少する中国に較べて優位を保ち、やはり超大国の地位を保ち続けるという。
 うーん、そうであるような気もする。
 となると、現在の米中(経済)戦争の行方は、長い目で見るとやはり…、ということなんであろうか。あろうな。まあ別の意味(人民のシアワセ如何)においてもそうだと思うしな。


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「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
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