ラジオの話Part.2の925号

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          ラジオの話Part.2の925号

■“radiko”と“O.K.Google”で

 前回に引き続きラジオの話なんだけど、この頃なんだかラジオが身近になった。
 …と思いません? radikoによって、ラジオがスマホの中に収まったというのも大きいけど、もう1つ大きいのは、例の「スマートスピーカー」だよね。
「O.K.Google」とか「アレクサ」とか言って起動させるやつ。私の場合は前者なんだけど、パパ部屋にもリビングにもバスルームにも置いて、なんだか常に流してる。
 一番聴くのはニュースでね。
「O.K.Google、ニュースを流して」とかいう。
 すると「最新のニュースをお伝えします」つって、まずはNHKラジオニュース、次に日経電子版ニュース、スポニチアネックス、朝日新聞アルキキ、TBSラジオニュース…、と、だいたいこんな順番でニュースを流してくれる。
 注目は「日経電子版」だよ。

■「ラジオNIKKEI」の懐かしさ

 日経電子版ニュースは、日本経済新聞社の協力のもとに「ラジオ日経(ラジオNIKKEI)」が放送してるんだけど、とにかく「経済」「政治」「外信」の堅いネタばっかりで、私ヒキタとしては、聞き応えがあって好みなんでありますね。どーでもいい話題が少ないんで。
 で、気づくとラジオNIKKEIを聴いてることが多くなった。ニュースが終わっても点けっぱなし。
 いやはや、ふたつの意味で懐かしいのですよ。
 ひとつめはね、そりゃラジオ「日経」ですから、ニュース以外はもう四六時中、株や投資の話ばっかりしてる。あと休日は競馬。それとマニアック健康講座。…で、このスタジオに漂う雰囲気がね、なんというのか昭和なんだ(笑)。耳に赤鉛筆を挟んで,ネクタイの上にジャンパー羽織った(←イメージですよ)「昭和の株オヤジ」みたいなのが何人も出てきて、だみ声で「あの企業はいい」「この企業はカネ持ってる」「明日はアメリカの雇用統計だ」「コロナで○○株が上がった」…みたいな金儲け話を延々としてるわけ。
 同じオヤジとして、じつに面白い(笑)。
 正直申し上げて、与太話も多いわけですよ。「うーん、ワカランけどね、おれの40年来の経験で言うと、この場合は損切りだね,損切り」「…と、先週言いましたが、すまんかったね、上がったわ(笑)」みたいな含蓄深い話が、延々と流れる。じつに味わい深い。

■ラジオNIKKEIは、もうひとつ懐かしい

 もうひとつ懐かしい点がある。
 このラジオNIKKEI、かつては「日本短波放送」といいましてね。その後「ラジオたんぱ」になり「ラジオNIKKEI」になった。
 短波放送ってのはあれですよ「世界中から届く、でもその分音が悪い」というマニアック電波でね。私は子どもの頃、ラジオ少年(BCL少年)だったんで、この短波放送にすごく馴染みがあったんですよ。
 モスクワ放送(ソ)、ドイチェヴェレ(独)、ABCラジオオーストラリア(豪)自由中国の声(台)なんかよく聴いてたもんだ。あ、もちろん日本語。けっこうたくさんの局が、海外から日本語放送をやってたのね。当時は。
 で、日本発の日本向け民間ラジオ放送として「日本短波放送」はあった。
 でも、短波放送って普通のラジオでは聴けないから(普通は中波とFMだけだ)まあ、当時からマニアックでピンポイントな放送をしてたわけさ。株や競馬は今と同じ。でもそれ以外に、マニアック通信教育(ラジオの組み立て方とか)や、マニアック気象情報や、そうそう、短期間だけどマニアックポルノ小説朗読なんかもやってた。あと、視覚障碍者に対する福祉放送。
 なんか品行方正なんだか、その逆なんだかワカランかったのですよ。この局は。
 でも、その局がいま、スッゴく面白くなり、なおかつ注目されてる。なぜか? それはですね…。

■ラジオNIKKEIに許されたアドバンテージ

 民放ラジオがほぼすべて参加する“radiko”において、ラジオNIKKEIはすごく有利なんですよ。
 何かというと、FM、AM、ほぼすべての局は独自のサービスエリアをもってるでしょ。関東なら関東、関西なら関西、宮崎なら宮崎、と。ま、たいていは都道府県単位だ。
 だからサービスエリア圏外に出ると、radikoの通常サービスは「プレミアム会員にならんとだめだよーん、月350円だよーん」ということになるわけさ。
 ところが、ラジオNIKKEIだけは、もともと短波放送でサービスエリアが日本全国だった。
 だから、追加料金なしで、全国どこからでも聞き放題なわけ。しかも短波時代と違ってスマホだから音がいい。
 さらに、親方・日経新聞だからニュースの質とチョイスが他の民放局とちょっと違う。経済外信に強くてオヤジ向け。しかも気に入った番組はとりあえずためといて後で聴ける。じつにいい。
 そういうわけで、だんだんワタシクのスマホradikoはラジオNIKKEIに侵食されていったのであります。そういうヒト、じつは結構多いんじゃないでしょうか。

 ふむ、現在のところ、最も気に入ってるのは、毎週金曜深夜の「伊藤洋一のRound Up World Now」。
 これは面白いよ。マジで。欠かさず毎週聴いてます。
 いったんラジオに溜めといて、土曜日の朝、家の掃除しながら、ネックスピーカーでね。

【伊藤洋一のRound Up World Now】
http://www.radionikkei.jp/roundup/


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『まんが訳 酒呑童子絵巻』大塚英志監修 山本忠宏編 ちくま新書

 酒呑童子絵巻、道成寺縁起、土蜘蛛草子の3つの歴史的絵巻物に、コマ割りをほどこし、ト書きをつけ、マンガとして再構成したもの。面白い試みだし、分かりやすいし、なるほどと思う。
 書店で手に取って眺めてみた段階では「こりゃ素晴らしい発想だ、これならば」と誰しも思うと思う。私も思った。
 ところが、読み進めていくと、意外に読むのに努力がいる。モノホンのマンガのようにすらすらと読めない。
 なぜか。
 一番の理由は登場人物の顔があまりに似過ぎていて、どれが誰なのか、瞬時に分からないところだろう。元々の絵巻物の絵を使ってるんだから、そりゃ当然なのだ。
 さらに言うと、そうして誰が誰なのかワカラン上に、それぞれの表情が固まってるので、怒っているのやら、笑っているのやら、緊張しているのやらも、まったくワカラン。
 なるほど、現代のマンガというものは、本気で洗練に洗練を重ねて、こんなに読みやすくなったものなんだなというのがよく分かる。
『酒呑童子』ほかの物語、面白くないとは言わんが、現代マンガのスゴ味(そして同時代に生きるということの意味)をあらためて分からせてくれるというヘンな効用のある本だった。


【ヒキタ関連Kindle本】
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL

【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
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「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
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【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
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