コロナ後の自転車の906号

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          コロナ後の自転車の906号

■そろそろ次のことを

 いやまあ、いつかはコロナ禍も終わるとは思うのですよ。
 あたりまえだけどね。こんな状況がこのまま続くわけない。
 その後、どうなるか。たとえば満員電車に以前のように乗れるのか。そもそも職場は都心になければならないのか、テレワークも進んだ、そして…。

 そのあたり、イギリスやフランスは交通分野の「次!」を自転車に見据えてるそうな。
 詳しくは次の「BiCYCLE CLUB」誌のWEB版(英国の話)、または次号「BiCYCLE CLUB」の本誌(フランスの話)を読んでいただきたいんだけど、いやまあこの流れは間違いなく日本にもやってくる。

【「BiCYCLE CLUB」WEB「英国の今後、コロナ後の自転車」】
https://funq.jp/bicycle-club/article/588392/

 こういう世界の趨勢の中、我々はいったいどうすればいいんだろうと思うわけ。
 だってね「次の交通手段は自転車だ」「コロナ後は自転車、業界も期待!」「健康にも環境にもいい!」なんてことを、のほほんと言ってられるとは到底思えないぞ。
 上記「BiCYCLE CLUB」誌の副編ヤマちゃんこと山口博久氏は、かねてからこう言ってた。

■このままではヤヴァいのではないか?

「自転車待望論ってチラチラ聞こえてきますよね」
「うん、ちょっと出てきたような気がする、気がしないでもなくするでもなく…、いや、するよ、特に世界を見てると」
 ヒキタが答え、ヤマちゃんが続ける。
「その自転車待望論って、特に東京では『電車の混雑を自転車に置き換えればいい』という単純な考え方じゃないですか」
「うん、そうだと思うよ。日本の『識者』たちってのは、自転車のことをあまり真剣に考えない傾向があるからね」
「でも、今回はケタが違うと思うんです。ヒキタさんみたいな『ヘンな人』ではなく、普通の人が自転車に乗り換えて通勤を始めるとするじゃないですか。そうすると、予想しないもしないようなリスクが発生すると思うんです」
「うん『ヘンな人』はさておき、桁外れに自転車人口が増えるだろうなぁ。すると、その結果? …まあ事故も増えるかもしれないなぁ、車道・歩道の区別も問題だよなぁ」
「いや、数字にしてみると、のんびりと構えてはいられなくなると思いますよ。
 たとえばですね、東急田園都市線を通勤に使う人たちの、3割が自転車に置き換わったとします。
 田園都市線、1時間に電車19本です。平時なら10両編成です。その10両各車両に170人乗ってたと考えましょう。170人の10両で1700人、それが19本で、3万2300人。その3割だとして、9690人ですよ。約1万人。
 これが、並行して走る国道246号線にあふれ出すというかっこうです」

■「一日中、富士ヒル」状態が都内何カ所も

「おー、単純計算だとそうなるなぁ。しかも今まで田園都市線に乗ってた人たちは、ほぼ間違いなく246号線を行くだろうなぁ、平行してるどころか、田園都市線、R-246の地下を通ってるんだから」
「いいですか、1時間に約1万人がずーっとです。つまり富士ヒルクライムや、ツールド千葉が永遠に続くというイメージです」
「うが、それはスゴい、スゴすぎる」
「しかもですよ、ヒキタさん。
 おそらく多くの人びとはヘルメットもかぶらず、ルールも守らないでしょう。これは多くの自転車初心者がそうであるように。善し悪しをいえばもちろん悪いですが、そういう話ではなく、ただの『事実!』なのです」
「うーん、これはまいった。たしかに、すぐさま自転車だ、自転車だ、とは言えなくなってきたぞ」
「そうです、自転車乗りとドライバーの意識を変え、クルマの車線ももある程度削らなくては無理な話です。あと駐輪スペースにも、同様の話が出てくると思うのですよ」

 どう思われますか。
 私はこのままほぼ正しいと思う。何とかしなくちゃどうにもならんと思う。
 ヤマちゃんは、その後「これが杞憂で終わればそれに越したことはないんですが」みたいなことを言ってたんだけど、コロナ後の世界、自転車の有効活用を見据えると、もう待ったなしだと思うのだ。

■「BiCYCLE CLUB」誌のアンケートまもなく

 だってね、ヤマちゃんの試算はあくまで田園都市線&246号線だけなんですぞ。
 首都圏で言うと、京王線&国道20号線も、京急線&国道15号線も、事情はみな同じだ。
 それだけじゃない、JR各線(いくつあるんだ!)、小田急、西武、東武、京成、ほか、全部に通じるわけだよ。
 関西だって、東海だって、そうだろう。
 こりゃチョー大変だ。

 というわけで、「BiCYCLE CLUB」誌とNPO自転車活用推進研究会とで、近日(もしかしたら今日?)とりあえず「自転車アンケート」やります。今回はその予告編。
 次号をお待ちを。

■ヘルメット委員会も動き出した

 あと上記内容と直接は関係ないんですけど、ヘルメット委員会も動き始めました。
 ヘルメットをかぶろう、という前に、まずは実態の把握です。で、これに関してはかなり資金が足りません。
 一口が若干高いのですが、こりゃもう「社会貢献だ」「寄付だ」という心意気で、クラウドファンディングを。

【自転車ヘルメット着用率の全国47都道府県市場調査】
https://readyfor.jp/projects/bikehelmetsurvey

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『思考のレッスン』丸谷才一著 文春文庫

 馴染みの文章に触れたくて、あまり意味なくペラペラめくるという本が、人にはいくつかあると思うのですが、私にとって、そのうちのひとつがこれ。なぜか枕元に(3年周期くらいで)置いてある。
 ほぼすべてが対談、講義、みたいな内容でね、おお、懐かしい、そういやそうだった、と毎度思って拾い読みし、毎度何だか発見がある。
 私が好きなのは、レッスン6の「書き方のコツ」の項だ。「だった」「だった」ではだめ、「である」「である」でもだめ、文章にはある種のリズムが必要であって、そのためには語尾に気をつけるべき、ときには敬語すら無視した方が、文意は伝わる…、というような話で(一部)、そうそう、私が語尾にこだわる理由もこのへんにあったな、丸谷先生。
 もう20年前か、本書が出たのも。
 丸谷本の中では、割と新しいような気がしてたんだけど、平成11年刊行って、20年以上前だよ。

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【ヒキタ関連Kindle本】
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL

【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878

【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
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