トンネル内の通せんぼの957号

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         トンネル内の通せんぼの957号

■赤坂から乃木坂へ

 つい先日の話なんですけどね、いやはやトンデモない目に遭った。
 パラリンピックの開会式で、都心のあらゆるところが通行止めになってましてね。
 当然のように、あらゆるところが、久々に見るレベルで大渋滞。なんかバブル時代みたいだ。
 でね、私の場合、会社からの帰宅途中にトンネルがあるわけですよ。「乃木坂トンネル」ってやつが。
 そこに自転車で突っ込んだ。
 このトンネルってのは、歩行者は通行禁止でね。軽車両(もちろん自転車を含む)はOK。クルマOK。歩道なし。長さは350mほど。短いといえば短い。
 ところが、その中が渋滞になってた。出口に信号が連続してるから、そこで詰まって動かない。

■息ができんがね

 つまり乃木坂トンネルに突っ込んだ私は、あっという間に、渋滞の中の自転車一台になってしまったってワケ。
 もちろん排気ガスだらけだ。今の季節だから暑いし、なんだか苦しいぞ、これは。
 クルマはずっと停まってる。で、後ろには戻れない(当然だ)。
 しかもタイミングが悪かったと見えて、突っ込んだときにはそれなりに動いていたのが、中ほどでまったく動かなくなった。
 こりゃ困った。
 で、私はクルマの左横をそーっと行こうとした。もう息苦しいからね、クルマと違ってエアコンもきかない(当たり前)。クルマの横を行くのは別に交通違反でも何でもない。
 しばらくはそのまま行けた。ところがしばらくすると、前方で、ハンドル切って左端ぎりぎりに停まってるクルマがいるのよ。通れない。
 大型トラックなら分かる。道幅いっぱいになって、必然的に左端のスペースが埋まってしまうという話。そういう場合ならもう仕方ない、運が悪いと思ってあきらめるしかないんだが、ところが、不思議なことにフツーの乗用車、それなのに左端ぎりぎりにいる。わざとハンドルを切ってるから、前輪が斜めだ。

■つまりは嫌がらせ

 これ、結局嫌がらせなんだよね。自転車(もしくはオートバイとか二輪車)に対する通せんぼ。
 当該ドライバーの思いとしてはおそらくこうだ。
「自転車が横を通って先にいくと、やがて渋滞が解消された時点で、また自分が抜き返さないといかんじゃん、うぜー、チャリンコ邪魔ー、だったら、渋滞時におれを抜くんじゃねえよ、通れなくしちゃおっと」
 で、渋滞中、左端ぎりぎりにいようとしてるわけ。
 まあね、通常の渋滞なら「バカがいるよ」と、その後ろについているけれど、トンネル内渋滞で息苦しくてたまらん。というわけで、クルマの間を横にすり抜けて、当該車を右側から抜いて、また元位置に戻って前に出た(自転車乗りなら分かりますね)。
 さぞやバカそうな若造がドライバーかと、ドライバー席を見たら、あに図らんや、ケバいおばさんだった(笑)。
 こういうのがいるのが、残念なことに日本の交通社会だ。車道はクルマのものと(おそらく教育がないから)勘違いしてる。自己チューの極みで「道路をシェアしよう」なんて思いはおそらく皆無。
 交通共存社会の道はまだまだ遠いな。SDGsも遠いぞ(^0^;)。


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『ラストエンペラー習近平』エドワード・ルトワック著 文春新書

「中国皇帝」習近平は、このところ最悪の選択を続けていて、いまや全世界を敵に回した。話は「米vs中対立」ではなく「全世界vs中の対立」で、その中国戦略に未来はないだろう、それが「中国4.0」。だが、もはや習近平は引くに引けない、……というのが、本書のおおまかな趣旨であります。
 そのあたり私としても大賛成で納得至極、さらにはこう述べる。
「ロシアのような“偽りの友好国”は離中のタイミングをはかってる。中国借金でがんじがらめのアフリカの小国などは不幸としか言いようがない、また態度を曖昧のままにしている蝙蝠国は、やがてそのツケを払わざるを得ないだろう」。まことに御意。
 もちろん最後の蝙蝠国の代表格(というより名指しでこの国しかない)韓国なんだが、……どうすんだろうなぁ韓国は。ルトワック先生「やがて崩壊確実な習近平独裁体制であるのに、韓国はその体制の忠犬と化している」みたいなこと書いてるよ。で、反中国の陣営に入れても役に立たない、いや、それどころか有害である、ともね。「小中華」意識かくも強いということなんだろうか。
 ま、それはさておき、本書の中で私が面白かったのは、後半の戦術論の部分だった。
 たとえば、なぜ機関銃は全世界で陸軍採用が遅れたのか。戦車というものが海軍で開発されたのはなぜか。こうした「軍事テクノロジーの逆説」のようなものがあるってことを初めて知った。
 そうか、そういう「変われない組織」のあり方ってのは、必ずしも日本独特のものではなく、全世界そうだったのか。


【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
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「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
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