なぜ「あ、イヌ!」がダメかの943号

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        なぜ「あ、イヌ!」がダメかの943号

■Facebookで話題になったんでメルマガでも

 私のFacebookでもちょっとだけ話題になったんで、メルマガでも。
 日本テレビ『スッキリ!』の、例の「アイヌ不適切発言」についてですがね。先日、お笑い芸人・脳みそ夫(のう・みそお)の発言が不適切だったとして陳謝、という事態があったじゃないですか。
 アイヌ人差別の云々、みたいな話。 
 不適切発言? またうるさいクレーマーかな、と、最初は思ってたのです。私は。
 で、どんな話なのかなと実際に見てみて……、唖然でした。
 こりゃダメだ。

■どんな内容だったかというと

 これ、きっかけは 同番組で、アイヌ女性のドキュメンタリー「Future is MINE ―アイヌ、私の声―」を紹介したことです。それ自体はしごく真っ当なものです。
 ところが、VTRが流れたのを受けて、脳みそ夫氏にが次のような「謎かけ」を披露しました。
 紙芝居形式でご覧ください。

【その1】
https://www.facebook.com/photo?fbid=4194271030618354&set=pcb.4194278670617590
【その2】
https://www.facebook.com/photo?fbid=4194271053951685&set=pcb.4194278670617590
【その3】
https://www.facebook.com/photo?fbid=4194271067285017&set=pcb.4194278670617590
【その4】
https://www.facebook.com/photo?fbid=4194271107285013&set=pcb.4194278670617590

 いやはや、これねー、テレビ局に勤める者としては「絶句」としかいいようがないんすよ。
 最初聞いたとき、私しゃまた、おバカ芸人が、その場のノリ、アドリブで何か不適切なことを言っただけかと思ってた。
 ところが、ごらんの通り。これ、テロップとかイラストとか入れて、完パケ(あとは流すだけの完成VTR)にしてるじゃないですか。つまり、ディレクター(おそらく若手の)が作り、プロデューサー(おそらく曜日P)のチェックをくぐり抜けてしまった。同じテレビ屋としては本気で信じられんのです。
 いや、じつは私、脳みそ夫って人、以前、爆笑問題さんのラジオ番組で共演したことがありましてね。 何だか「イッちゃった系の変人芸人」だと思ってて、だから「おー、バカやったな」と思ってたんですけど、こりゃ違う。いわば「番組ぐるみ」でしたか。

■テレビ屋としての基礎的素養

 ご存じの方はご存じのように「ア、犬(イヌ)だ!」「アイヌのイヌ野郎!」ってのは、アイヌたちが最も怒り悲しむ部分、というかアイヌ差別の象徴にもなってるセリフなわけです。
 実際に、名作『コタンの口笛』(石森延男著)では、主人公のアイヌ少年が「ア、イヌだー」とからかわれるシーンがモロに出てくる。こういうのはアイヌと和人との付き合いの歴史を学ぶ際の基本だと思うのです。
 だから(これだけの理由というわけじゃないけれど)一時期、アイヌをウタリと呼びかえる運動まであった。
 でも、じつはアイヌ(=人)の方がウタリ(=仲間)より誇り高い名前だということで、昨今はアイヌに戻ってきて……とまあ、そんなことまで言わんでも、何より、対民族として失礼ですよね。

■勉強しろ、テレビ屋

 もちろん、呼称がどうの、民族がどうの、差別がどうの、というのには、一筋縄ではいかん議論があると思うのです。でも、日テレさんのこの番組、このタレント、このスタッフたちは「そもそも知らんかった」というのが一目瞭然じゃないですか。
 つまり、今回の問題の本質は「邪(救いがたい差別意識!)」ではなく、単に「愚(プロとして救いがたい無知!)」方面なわけ。
 議論以前に「まずは勉強しなさい」という話です。だって、一方で「アイヌの美しさを堪能しよう」とかも言ってるんだから。
 ただね、この話、決して日テレだけの特別な話、というわけじゃない。朝ワイドの人の足りなさ、熟練のなさ、知識のなさ他、数々の状況を鑑みると、どの局だってやりかねんと思うのです。
 もう少し勉強しろ,テレビ屋。
 私は(もちろん)自らのことも含め、そう思うしかないのです。

■民族の呼称、旗、ほか

 そうそう、蛇足かもしれないけど、もうひとこと。
 今回のこれ「この程度、目くじら立てる話かね」という人もいると思うのです。中にはね。でも、日テレは即刻、不適切だと謝罪した。
 こういうのは日本人のいいところでね。
 やはり民族に対する敬意、特に呼称や旗、シンボル的なものに関する配慮を忘れないのは重要なことだと思うのですよ。
 ことあるごとに他国の国旗を引き裂いたり燃やしたりする人たちもいたりしますが、そういうのこそ最低で、我々はそんなことはしない。
 やまとごころの美しきかなです。

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 驚いた。
 本の内容、全部知ってる。もう読書デジャブ。
 ……でも考えてみりゃそりゃそうなのだ。「睡眠負債」も「睡眠すぐに訪れる黄金の90分(ノンレム睡眠)」も「深部体温と皮膚体温」も「マイクロスリープ」も、ぜーんぶテレビで繰り返し繰り返しやった内容だからだ。
 本書が陳腐なわけじゃない。逆に本書こそがネタ本。
 これを元に、情報番組が何度も何度も分かりやすく噛み砕いて放送済み、というわけ。
 特に日テレさんの『世界一受けたい授業』なんて、西野先生本人を呼んで、そのまんまやっちまってるよ。そういや思い出した。実際に観たわ。……だからか、デジャブ(笑)。
 あの番組はホントに大したもんでね。すっごく分かりやすく、なおかつ面白い。「面白くてためになる」という情報番組のほぼ理想像だよ。
 ……と、日テレさんの話、バランスをとってみました。←ウソ。偶然です。
 いや、それにしても、テレビの伝搬力ってのはスゴいからね。動く映像と、ナレーションと、字幕と、音楽で、ホント何も考えなくても理解したような気にさせてしまう。で、実際に知識としては手に入れてしまうわけだ。
 だからこそ、細心の注意をはらわないと。
 作る側からは、上記『スッキリ!』の話、本気で他山の石なのです。

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