あの日から10年の942号
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┏━┫ 週刊 自転車ツーキニスト ”Weekly Bicycle Tourkinist” ┣━┓
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あの日から10年の942号
■避難手段を考え直そう
あれから10年。
私にとってはこの5年、ずっと考え続けてきたのが、津波避難手段としての自転車のことでありました。
自転車は津波避難に有効です。電動アシストならば理想的ですが、普通のママチャリでもOK。
自転車避難のスゴいところは、自転車で逃げる本人が助かるだけじゃないところでしてね。
クルマ避難から自転車へ移行することによって、クルマの台数が減り、渋滞が減る。その結果「クルマでしか逃げられない人(障碍者、乳幼児、高齢者、病人など)」の避難完了率も爆上がりするところです。
構造計画研究所とともにコンピュータシミュレーション(MAS)してみたのが4年前。論文として完成したのが昨年。LINZINEがインタビュー記事にしてくれましたんで、是非お読みください。
【津波から少しでも多くの人が避難できるように、このことを知ってほしい】
https://linzine.jp/post-1052/
ちょっと長いけれど、分かりやすいと思います。
こんな日ですから、ちょっと我慢して読んでみてください。いえ、別に我慢しなくても読めるとは思います(笑)。
■偏見を捨てて欲しくて
困ったことに、私が「自転車で避難」と言い出すと「またまたヒキタが自転車だよ(むりやり自転車に?)」と思われがちなところでありましてね。
でも、そういうのってただの偏見だと思うのです。
以前、東大の大学院(都市工学)にいた頃、同じ院生に言われたことがありました。
「そもそもなんで自転車で逃げなくてはならないのか分からないんですよ」。
……分からない、か。そりゃあなたのアタマが悪いからでしょう、との言葉が口から出そうになりましたが、まあ押しとどめ(←オトナだ(笑))冷静に考えてみれば分かります、と、説いていきました。
自転車ありき、ではなく、消去法の選択肢として自転車しかないんだ、と。
◎徒歩では間に合わない、荷物も運べない。
◎クルマでは渋滞してしまう、あのときクルマの中で見つかった遺体だけで1,000体弱あった、渋滞関連死ということでいうともっとだろう。
◎公共交通機関はすべてストップする。
◎オートバイはそもそも乗れない、持ってない人が多すぎる。
10年前のそういう経験を鑑み、次はどうやって逃げる? と。
ね、自転車しかないでしょう。
そして、自転車をためしてみると、イケるわけです。
たとえば私がシミュレーションの舞台として設定した宮崎県日南市の場合、最大津波高が高さ14メートルで想定されています。その14メートルを縦に上るためにはどの程度自転車を漕ぐのか。
正解は「3%のユル坂で500m程度」です。オバちゃんがママチャリに乗っても楽々です。
その上で、もう一度繰り返しますが、自転車避難のスゴいところは、自転車で逃げる本人が助かるだけじゃないところです。クルマ避難から自転車へ移行することによって、クルマの台数が減り、渋滞が減る。その結果「クルマでしか逃げられない人(障碍者、乳幼児、高齢者、病人など)」の避難完了率も激増するのです。
なんとか次の南海トラフ巨大地震が来る前に。
今日は鎮魂だけじゃない。次にどうするか、を考える日。
私はそう思っているのです。
【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/
【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
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「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
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【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
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「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
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