ありあんすの丘の女神の951号

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           ハンコについて考える951号

■テレワークでハンコ(印鑑)にネガティブ注目

 いやまあ、緊急事態宣言中、テレワーク中に「ハンコをもらわなくてはならないんで出社」なんてことが起きたりして、これじゃマズいわけですよね。体質が古い会社だったりすると特にそう。
 まったくの無駄、意味なし出社。そもそもハンコいるのか、なんてことを言われたりして、ハンコの旗色が非常に悪い。
 特に「どこでも売ってる三文判」みたいなのに関しては、もうホント、まったく意味がないからね。「適当に三文判買って捺しといて」なんてセリフがあること自体、そもそも意味がないことを物語っている(笑)。これぞ「悪しき形式主義」だ。
 ここに「誰でもパソコン、誰でもスキャナ、ハンコの偽造なんてすぐにできる」なんて事実も加わった。
 さらには、サインの方が、筆跡、筆圧、筆勢ほかがあって、偽造しにくい、なんてこともある。
 先々月には「デジタル社会形成関係整備法」なんてのが国会を通って、ここに「ハンコもう廃止すっからね」みたいなことが書かれてる。
 ハンコ、なんだか風前の灯火だ。

■でも、じつは嫌いじゃない

 もちろん時代の流れじゃがねと思う。
 しかしね。好きなんすよ、恥ずかしながら、ハンコ。私はね。ハンコというもの自体が。
 あのぱっと見には読めないモジャモジャ文字も好きだし、朱肉をつけてペタリと捺す行為も好き。
 はたまたあの小さくも存在感のある佇まい、そういうもの全体が好き。なんつのか、黒一色の文字書類に、赤いアレが画竜点睛みたいな感じでつくのもいいじゃないすか。
 だから、自宅パパ部屋(つまり私の部屋)には、実は各種のハンコがある。実印はもちろん、銀行印、認印も、何となく凝ったのが揃えてある。チタン印なんてのも好き(笑)。ときどき取り出しては愛でる。でも、一度愛でたら、半年程度は忘れてる。
 ま、そんなもんだ。
 でもね、なんか寂しいんですよ。このままハンコがなくなってしまうのは。そんなことないすか。あれはあれで1つの文化だと思うんですけどね。

■ハンコの女神

 というわけで、ご存じあります? ハンコの女神。ところは山梨県、甲府市の郊外に「ハンコの女神ありあんす」なる方がいらっしゃることを。
 正確にいうと「幸せの丘ありあんす・女神ルリエさま」というらしい(今ググッた)。
 見た目で言うと、もう新興宗教感まるだしで、ゴージャスで、過剰で、アヤシくて、なおかつデカい。
 私しゃ大学時代に合宿ゼミで研究室の人々と(なぜか)訪れたことがあって「なぜこんなアヤシいところに来なくてはナランのだ」とか思ったことがある。教授の趣味だったのか何だったのか今となっては真相は藪の中だが、じつはここ「幸運印発祥の地・宗家日本印相協会」というところの経営だそうだ。要するに「開運印鑑」の本家本元なワケですよ。
 要するに、そこまでアヤシくはないが、まったく胡散臭くないわけでもない、という感じでね。ま、信じるものは救われる。ナニゴトも(笑)。

【日本珍スポット100景ありあんすの丘】
https://bqspot.com/koushinetsu/yamanashi/221
【ありあんすの丘公式ウェブサイト】
https://hh-alliance.com/index.html

 公式ウェブサイトとかつぶさに見ると、いまは「恋人たちの聖地」だの「結婚式場」だので、ジリ貧を打開しようとしているように見える。一つ目の「珍百景」レポートが面白いから見てみてちょ。
 いえね、で、何が言いたいかというと、……昔は儲かってたんだね、ハンコ業界、ということよ。
 こんなスゴい施設が作れるほどに。いや、人生というのか、業界というのか、世の中なにが起きるか分かりませんよ。ホントの話。


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『全員悪人』村井理子著 CCCメディアハウス

 ビートたけしの映画じゃないよ。村井理子の小説。主人公は80歳のおばあちゃんで認知症。これはつまり認知症主人公が一人称で語る認知症小説なのだ。登場する「あなた」は、嫁。
 えーん、身につまされるよう。
 しっかりもののお華の先生だったおばあちゃんが、どんどんボケていく。その過程の中で、悪い妄想が浮かび、ワケの分からない思い込みが生じ、ついにまわりが(彼女にとって)全員悪人になっていく。
 でも、ホントは全員善意の人なんだよ。
 作者の村井さん本人は50歳の女性。で、この小説は、みんな「事実に基づく」ものだそうだ。50代の彼女が、80歳女性になりきって、その内面を描く。本当にそうかどうかは分からない(当然だ)が、ものすごいリアリズムを持って読者に迫ってくる。
 文章はよどみなく、シカツメらしいところなんて微塵もない。短いこともあって、もうイッキ読みだ。読み終えた後、ああ、なんてこと、人間はちょっと長く生きすぎるようになったんだ、という現実をかみしめてる自分に気づきます。
 人生百年時代か…。寿命がのびた分、認知症時代がのびるんじゃ、長生きも善し悪しだなぁ(;。;)。


【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
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「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
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【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
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「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
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【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
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