車道のライオンたちって?(苦笑)の952号
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車道のライオンたちって?(苦笑)の952号
■言葉がキマると思考停止
不朽の名作『さるマン』『コージ苑』で有名な、漫画家・相原コージさんの警句にこんなのがありましてね。
「気をつけよう、言葉がキマると思考停止」。
ふむ、なるほど。
なんか意味ありげでカッチョよさそうな言葉がキマると、思考がそこから先に進まなくなってしまう、考えが固まってしまって、それ以上のことを考えなくなってしまう、というような意味でね。大学時代のワタクシめは、深く納得したことでありました。
あれから幾星霜。
じつは自転車業界(?)にも、私が前々から気になってるその手の決まり文句がある。
■「車両だから一緒」の比喩
自転車は車両であり車道が基本。とね。
この↑文言のことじゃないよ(笑)。もともと自転車は車道です(`・ω・´)キリッ。
逆に、歩道というのは交通弱者を守るためのスペースなんだから、そこに車両(当然自転車も含む)が入っちゃいかん。
問題なのは、そのことに反対する(?)次のような立場のことでね。いわく…。
「自転車も車両だから車道に」というのは、「シカもライオンも動物だから」と言ってシカをライオンの檻に放り込むような話です。(だから危ない、自転車は歩道がいい)
これこれ↑ これこそ「言葉がキマると思考停止」なのですよ。
■「ような」がちっとも「ような」じゃない
こういう「警句」みたいなのがキメキメにキマると、あまり物事を深く考えない人は、そうだよなぁ、シカは自転車で、ライオンはクルマかー、やっぱ車道は危ないよなぁ、となってしまう。
いえいえ、違うんだって。
この言い方、よく考えると「ような」がちっとも「ような」じゃない、つまり比喩が成り立ってないところがタマランところでね。
だいたいクルマが自転車を食うかって。クルマが積極的に自転車を襲うのかっての、……襲わない(笑)。
この例、強いて改変するなら「ウサギとウマ」あたりが適切例だろうと思うのだ。
自転車とクルマの事故は、どうしたって不測の事態であり「不慮の事故」だろう。
ウマがウサギを蹴り飛ばしてしまった、はたまた踏みつぶしてしまった、と、そういう例。
故意に自転車を跳ね飛ばすクルマなんていない(サイコパス以外)。当然ながら、ライオンがシカを襲って食い殺す、なんていうのと、構図自体がまるで違うわけ。
■話を持っていく先があるから
ウサギとウマ、違うのは身体の大きさと、スピード、そして傷つきやすさだ。
それが分かると「なるほど、では、車道(非歩道)の中での棲み分けを考えようか」となる。これこそが適切な議論の出発点だろう。
だけど、最初の「シカもライオンも」の例を出すような人たちは、要するに「チャリがちょろちょろ車道を走るんじゃないよ、邪魔なんだよ」と思ってるから「ウサギとウマ」ではマズいわけ。結論として「だから自転車は歩道に乗ってろ」としたいわけからね。
さらにいうなら「ウサギもウマも」では、言葉の面白さとしてのインパクトがない。
だから「シカもライオンも」になる。
でも、間違ってる(笑)。
これらの話をしている人って、じつは言外に「おれ、ライオンのような危険なドライバーなんだよ」「あおり運転とかタマにやっちゃうんだよ」みたいな告白をしている、ということをちょっと考えた方がいい。
で、私は思うんだけど、そういう性向のドライバーって、そもそも運転に向いてないよね。
議論以前に、免許返納でも考えた方がいいのではないかと思うぞ。
【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
『自転車お宝ラーメン紀行』石田ゆうすけ著 産業編集センター
自転車旅エッセイストとして有名な、石田ゆうすけさんが東京都内のラーメン店を自転車で渡り歩く本。
石田さんのポリシーがいい。
「最近のアレもコレもぶち込めの、濃いラーメンは、最初だけはいいけど、最後まで食えないよ、昔ながらのキレイな旨味の最後の一滴まで飲めるラーメンがいいなぁ」。
だからして、必然的に「町中華」の渡り歩きになり、石田さんのことだから、その渡り歩きの道々でいろんなものを発見していくわけだ。
「気がついたら全部読んでました」という感じの本。読み終わったら、即、自転車でぶらり旅、で、あてなく見つけたラーメン屋にぶらりと入りたくなるぞ。
昨今の「自転車本」の中では、かなりオススメ。
ちなみに「CYCLE SPORTS」誌の連載では、必ず私のページの直前に石田さんのページがある。「雑誌内おとなりさん」だ。読むと石田さん、いろんなところに行ってて羨ましい(笑)。
先日そういうご縁で(?)私のラジオに出ていただきました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4863112823/ref=sr_1_3?dchild=1&qid=1623374489&s=books&sr=1-3
【ヒキタ関連Kindle本】
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/
【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878
【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
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