ウクライナ映像がハリウッド映画みたいに見える理由の992号

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        ウクライナ画像が映画みたいな理由の992号

■意外な反応にありがとう♪

 前回のメルマガには意外なほど色んな人から反応がありまして、多くの人は「ヒキタさんのメルマガ、長くないですよ、そのまま書いててちょ」「もう何年も読んでますが、いつも楽しみにしてます」という。
 ありがとうございます<(_ _)>。
 そうすか、少し勇気が出ました。

■ウクライナの戦災映像

 さて、毎日のニュースを見るたびにウクライナに詳しくなっていくわけですよね。
 で、無力感にうちひしがれる、というのが「世界中の普通の人の今」という気がするんだけど、これね、マリウポリとか、ブチャの戦災画像を称して、ロシア側が「アレはフェイクだ、西側のプロパガンダ映画みたいなものだ」というじゃないですか。
 で、そんなわけあるかい、ふざけるなロシア、と思いながら、一方で我々も「うん、ハリウッド映画みたい」と思ったりもする。

 映像はもちろん本物で現実。当たり前だけど、あんなスゴいセットが作れるものか。
 でも、あれらの映像がことさらに映画っぽく見えたりするのも事実だ。
 なぜだろう。
 テレビ屋稼業30年以上の私に言わせると、理由は2つある。
 ひとつは高画質、もうひとつはドローンだ。

■ドローン映像が印象的にもたらすもの

 高画質はもちろんだ。しかし、それ以上に「印象としてデカい」のはドローン画像でね。
 これね、以前なら、(1)ヘリによる空撮を出すか、(2)地面にレールを敷くか、(3)クレーンを使うか、と、そういう大がかりなことをしないと、撮れなかったわけですよ。
 こういうのを「ドリー映像」という。一言でいうと、被写体じゃなくカメラ側の視点が動く映像のことね。そして、そのドリー映像、ご想像の通り、高価だったのです。(1)も(2)も(3)も。金も手間暇もかかる。

 だから、予算と撮影期間がある程度見込める映画かドラマにしか撮れなかった。
 そりゃそうだよね。
 逆に、スタッフの人数が限られ(はなはだしきはひとり)日々刻々と変わる報道の現場で、どうやってレールやクレーンを使うんだっての。

 ところが、今回それが変わった。
 お手軽に、安全に、高画質で、しかも安定して、ドローンが飛ばせる。
 低空、高空を問わず、そこから撮れる。
 で、手にした映像は高画質のままリビングの大画面テレビに届くわけだ。だから、もうまるでハリウッドの終末映画みたいなんだよ。常日頃テレビで観てご存じの通り。
 この部分、ロシアのフェイク情報に非常に有利に働いてると思う。

■時代はここまできた

 いわば戦場映像のイノベーション。
 元祖はベトナム戦争あたりにある。
 あの戦争は、はじめて「テレビで生中継された戦争」だった。
 次が湾岸戦争のいわゆる「ミサイル命中」の映像だよ。あのときから戦争は一種のテレビゲームとなった。
 そして、今回のドローン・ハイビジョン(いや、4K、8K)映像だ。
 戦争は完全に映画になった。いや、もっと言うなら昨今の映画って、リアルに見えても半分程度はCGだ。今回のドローンウクライナ映像は、それと同じなんだよ。リアルCGみたいな映画。

■ドローンの真の脅威(;_;)

 こういう構図だ。
 ベトナム戦争で戦争がテレビ化し、湾岸戦争で戦争がゲーム化し、今回のウクライナで戦争がハリウッド映画化した。
 それがモニタを眺める我々にとっての戦争ではないか。
 今、スマホで流れ、歩きながら見て、電車の中での暇つぶしになる。
 もう「マトリクス」まであと2、3歩程度だな。…なんて、古いことを言ってしまった。オヤジだな。今ならメタバース。
 とまあ、それはいいとして、ドローンは戦場撮影に大活躍、は、分かっていただけたと思う。…だが(もちろんご承知の通り)爆撃にも大活躍中だ(;_;)。
 そして、真に脅威に思うべきは、そのドローン最大手メーカーが中国にあり、最新の技術も中国にあり、パテントを多数持っているのも中国であることなのではないか。


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