中高生サドル事情(自転車コラム傑作(?)リバイバル)の934号
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中高生サドル事情(自転車コラム傑作(?)リバイバル)の934号
■おやじが語る女子中高生サドル
語るなっての(笑)。50代のおやじがね(笑)。
まあ、それは分かった上で、それでも書くんだが、先日、とあるサイクリングイベントがあった。ヒジョーにゆるい、街乗りイベントで、テーマは「左端を走ろう!」で、ついでに「地元警察署と共催だ!」だったんだけど、まあ車種だっていろいろだ。ママチャリ上等、それぞれコスプレあり、という、ま、ファンライドイベントの極度にカジュアルな、街乗りポタリングだったと思いねぇ。
いや、ポタリングじゃないな、パレード? そうそう、この言い方が最も適当だ。自転車パレード。
で、私もその中のひとりとして加わったんだが、私の目の前を走っていたのが「メイド・コスプレ」の女の子であったわけですよ。
車種はロードバイク、ヘルメット着用、グローブ着用あり。んで、メイド服だ。
ふむ、こうなると、見た目のテイストは「生きる“痛チャリ”」という感じでね。もう、その趣味の人が見たなら、萌え萌えなんだろうと思う。たぶん。
当人だって(注目されることが)満更じゃなくて、まあまあ可愛らしく、まあまあ似合ってはいた。で、それはそれでいいんだけど、後にいる私にとって気になるのは、スカートだったのだ。
スカートが後に垂れている。
当然ながら、リアホイールに少しずつ触れて、あー、汚れるぞ、黒くなるぞ、という状態でね。
いや、汚れるのは、まあ勝手なんだが、そのままの状態を続けると、いつかホイールにスカートかリボンが巻き込まれるぞ、ちょっと危険だぞ、状態になっていた。
で、私は交差点で停まった際に注意をした、と。
「ちみちみ、スカートがリアホイールに巻き込まれそうになってるぞ、注意したまえ、おっほん」とね。
彼女はにっこり笑って、素直に「すいませーん(ありがとうの意味)」といい、スカートをまとめて、サドルに敷くような形にした。
それですべてが解決。
その後、私も心穏やかにパレードを続けたんだが、あれ? 気になることがひとつ。
ときおり見るでしょ、ちょっとギャル系の女子中高生が自転車(ママチャリ)に乗っている姿。彼女たちのスカートは常に短いよね、彼女たちはいったいどのような形でサドルに跨ってるんだ?
■フツーに言って布一枚だろう?
通常のママチャリには荷台とドロヨケ、モデルによってはスカートガードまでついているから、スカートがどのような形であれ、ホイールに巻き込まれることはまずない。
だが、彼女たちのスカートは極度に短いのだ。
いつ頃からなのか、女子中高生たち、なかでもJKなんて単語が似合いそうなギャルたちは、ほんとにミニミニのスカートを穿くようになった。
んで、よくよく見てると、ママチャリJKは、そのままスカートが後に垂れてるわけだよ。
そりゃあれだ、つまりはケツとサドルの間にあるものは、パンツの布一枚だとしか思えないわけだ。余計なお世話かもしれないが、こんな季節だ。冷たくないのか? どうなんだ?
というわけで、私は、JK自転車サドル事情に詳しい(?)親友の某女史に聞くことにした。
某女史というのは、あれだ、色んなところで自転車女子道を教授しまくっている、あの某女史だ。ひとよんでドロンジョーヌ恩田という。
「ヒキタさん、それじゃ、まだまだ“ガン見”が甘いですね。JKとひとことで言っても、そこには二種類あるわけですよ。スカートをきちんとサドルの上に敷くような形で乗るマジメ系と、パンツ直サドルで乗るミニスカギャル系と」
あ、なるほど、やはりその差はあるわけだ。
「やっぱね、パンツ直サドルは冷たいですよ。ただでさえギャル系JKのパンツは薄いことが多いですからねぇ。ケツが冷たい? それどころじゃないですよ。股間ですよ、股間。要するに、パンツ越しの大インシ……」
やめなさいって(笑)。
きみは黙っていれば、スゴい美人なのに、なんでそんなことばかり口にするのかね……。
■ジャージを穿くという荒技
でもさ、冬の間とか、やっぱり耐えられないでしょ。ブルマーとか穿くのかな。
「もちろん穿きますとも。多くのJKは穿いていると思ってください。とくに田舎の場合は、ブルマーどころか、ジャージ穿いてますね。ジャージ」
うわ、知ってるよ。しかも、ついこの間、偶然その話をしたばかりだ。
何をかくそう、私が育ったのは、宮崎県日南市という海沿いのド田舎でありましてね。そこで「吾田中学校」という何とも田舎くさい校名の中学校に通っていたわけだが、そこに通う子たちは、ジャージのズボンの上にスカートを穿いていた。なんというのか、セーラー服姿の下に、もんぺのような感じでジャージを穿いていたわけだね。
なんともはや、これぞダサ。輝け「キング・オブ・ダサ!」と、今となっては思うわけだが、先日、その中学校の同窓会があったってわけ。中学を卒業して、はや35年「みんな等しく50歳になったぜ記念同窓会」というわけで、私も行ってきた。
いや、もちろん懐かしいんだが、そこでつもる話の一つとして出たのが、女子のジャージ姿だったのだ。
そのジャージは、ただでさえダサかった。
紺色と緑色のツートーンで、色づかいに何か「普通のジャージ(青白とか)とひと味違うぜ」と言いたげな作為があるところが、かえってダサ味を増していて、その野暮ったさは、田舎の日南の中でも際立っていたと思いねぇ。
で、私はその会にいたひとり「かつては可憐な女子中生、今はガハハおばさん」に聞いたのだ。
「スカートの下に穿いてたじゃん、ジャージ。あれは何、校則とかそういうので、決まってたんだっけ?」
ところが、元・可憐な女子中生は意外なことを言う。
「うーん、そんなことは別になかったわね。あれはねー、自分たちでワザとああいう格好をしてたの。特に運動部はみんなそう」
「なんで?」
「うーん、気分といえば気分よね。運動部(私の場合、ソフト部だったけど)の先輩たちがみんなそうしてたから、というのも大きかったけど、なにかね、その方がカッコいいという気分があったのよ。
男の目を気にしない、媚びないカッコよさ、というのかな。うーん、でも、それともちょっと違うな。
むしろ『ダサい方が逆にカッコいい』みたいな感じ。大人から見るとヘンだろうけど、そのヘンさをヘンと感じない感性がナウい、みたいな、あら、ナウい、だって、けらけらけら(笑)」
ふーむ、なるほど。ちょっと分かりにくい。でも一方で、なんとなく分かる気もするのだ。
じつはその「ダサカッコいい」というような感性が導き出す「スカート下ジャージ」。今でも全国に蔓延する伝統的スタイルなのだという。
実際にマイナビの「中高時代は当たり前でも、今では恥ずかしいファッション」というアンケート、堂々一位は「スカートの下にジャージを穿く」だった。ふむ、それだけ多くの女子中高生がそうしていた、ということなのだろうね。
■女子中高生自転車パンツの進化
話を戻そう。
現代の女子中高生スカート&サドル問題は、じつはここにいたって、とある新製品を生み出したのだという。
ドロン女史はこう言う。
「最近はねー、短めのスパッツ。これ、多いと思いますよ。つまり、パッドの付いてないレーパンみたいな感じですよね」
ふむ、そんなスパッツ見たことないが……。
「そりゃそうだわよ、見えたら意味がないでしょう。それに、もしヒキタさんが見慣れていた、なんてことだと、ヒキタさんは、ヘンタイくん認定だからね」
いや、そんな認定は、まったくしていただきたくないんだが、ためしにネットで調べてみたら、わお、ホントだ。「マイクロ・ミニスパッツ」みたいな名前で普通に売られてるよ。
冷えないし、パンチラしないし、普通にしていればスカートの下から見えたりしない、おまけに昨今のは蒸れたりせず、もう最高! ということで、もはや女子中高生の定番なのだという。
「だから、今では別に自転車に乗る乗らないにかかわらず、女子中高生はフツーに穿いてると思うわよ」
ふーん、そうなのか。
じゃあミニスカJKのことを、そんなに心配することもないんだな。彼女たちはみなこの「マイクロ・ミニスパッツ」を穿いている、と。
「そうね、ヒキタさんが知らないだけで、ヒキタさんの娘さんも、穿いてるかもしれないからね」
いや、うちの娘はまだ3歳なんだが……。
「あらそう、でも、もうすぐよ、3歳の娘が女子中高生になるのなんて」
そういうことらしい。なるべくそのときが遅くやってきますように。
(初出・「バイシクルPLUS」枻出版社2017年3月)
【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
『桐谷さんの株主優待のススメ』桐谷広人著 祥伝社
自転車(ママチャリ)で常に爆走し、株の優待で衣食住を全部まかなう、テレビなどでも有名な桐谷さんの「株主優待のススメ」。もうタイトル通りの本でありました。
なるほど、いろいろあるのね、株主優待。そうか、それでいいのか、損切りしない、か。優待が優れてる会社は株価も安定してる、か。株の上がり下がりに一喜一憂することもない、か。
もうね、チキン疋田としては、こういうユルくて危険の少ない投資は大鑽井盆地でありまして、これはいい。
やってみようかな。
株取引の口座開設のやり方から懇切丁寧で、スゴく初心者向け。こういう親切さもいい。あれ買えばいい、これ買えばいい、というのがものすごく多いんだけど、本に載った以上、若干古いのかなというのはある。だけど、話はキャピタルゲインじゃなく、株主優待なんだから、それはそれでいいんだろう。
だが、本書で私が一番驚いたのは、桐谷さんの来歴だった。
なに、桐谷さんって、将棋棋士だったの? まったく知らんかったよ。私しゃまた、ただの変わった株オジさんかとばかり思ってたんだけど、すでに引退したとはいえ、ちゃんとしたプロ七段。あの天才集団のひとりだったんだ。驚いた。しかもニックネームが「コンピュータ桐谷」。
……。
ふーむ、きっと株にしても理詰めの投資戦略を練った末に得たノウハウなんだよ。
ということはあれか、株投資ってのは、結局キャピタルゲイン云々じゃなくて、じっくり黙って持ち続け、株主優待と配当を受けるのが一番の得なのかもしれないね。
なんだかものすごく合点がいったぞ。
【ヒキタ関連Kindle本】
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL
【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878
【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
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