トイレットペーパー、なくならないよ…の896号

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     トイレットペーパー、なくならないよ…の896号

■昭和48年を思い出すなぁ(笑)

 いやはや、マスク騒ぎどころじゃない。スーパーやらドラッグストア、コンビニなどで時ならぬ「トイレットペーパー騒ぎ」が起きてるわけだ。
 令和の今、トイレットペーパーや、ティッシュが、この日本でなくなるかって、なくならないよ(笑)。だいいち新型コロナウイルスとか関係ないじゃん。
 思い出すのは昭和48年、石油ショックのときのあの騒ぎでね。
 あの時代もトイレットペーパーが店頭から消えた。当時、私は東京の三鷹市に住んでたんだけど、小1か、小2だったか、とにかくそんな子供にもインパクトがあった。オトナが見るニュースを横目で見て「へー、トイレットペーパーがなくなるのか」と思ったもの。

■有り得ないと親父は言った

 もう亡くなってしまったが、私の父は某製紙会社に勤めていたもので、最初から「石油がないから紙がない、なんて、そんなことあるかって」と笑ってた。
「いいか、智(私の下の名前)、たしかに紙を作るためには原油も使う。パルプ(紙原料)や紙そのものを作るために熱や蒸気を必要とするからだ。
 だけど、原油を使うってのは、普通の「工業」である以上当たり前でな。製紙業界がことさらに原油に依存しているなんてことは有り得ないんだよ。むしろその逆だ。そもそも紙の原料は木材チップなんだから。
 これがプラスティックがなくなる、というなら分かる。石油が原料だから。だけど、なぜトイレットペーパーなのかな(笑)」
 親父の言葉に、私は「うん」と頷いていた。

■でも、母は並んだ

 ところが、近所のスーパー「シズオカヤ」が「トイレットペーパー入荷! ひとり3巻まで!」なんてチラシをまいたとき、私の母親は、私と妹を連れて、スーパーに並んだ。
「1人3巻」だから、3人で9巻。私は小学生で妹が幼稚園児だったな。
 父はああ言った。でも母は並んだ。
 母は決して「バカな女」じゃなかったと思う。むしろ賢い女性だった。
 でも並んだ。その理由は「だって、現実にスーパーからなくなってるのよ、実際の生活としてトイレットペーパーが切れたらどうするのよ」だった。
 社会全体のポリシーはいざ知らず、目の前のトイレットペーパーがなくなるのは、たしかに驚異だ。

■「愉快犯」大笑い?

 そういうところを狙ったのか、なんなのか、昭和48年も、今も、同じようなデマが流れ、同じように人びとは行動した。
 考えてみれば、デマ元の愉快犯(←そういうのがいるとして)うまいところをついたもんだ。
 トイレットペーパーなんて安いものだから「ないんだったら、多めに買っちゃえ」と思う。で、ひとりひとりが多めに買う。すると(一時的に)店からなくなる。なくなると、それを見た人が「おや、ウワサはやはり本当だったのか」と焦る。で、それぞれがこう考える。
「トイレットペーパー、ないとメチャクチャ困るよな。水に溶けてトイレにそのまま流せる紙なんて他にありやしない」「じゃ、多めに」「ない? 探せ」「制限? 並ぼう!」
 かくして、半世紀をまたいで、ふたたびトイレットペーパー騒動は起きた。
 いやまあ、でも、ようやく終息しかけてるというところだろうか。トイレットペーパーに関してはね。店によってはしっかりあるもん。最初からメーカー在庫は豊富だったんだから。
 あと、さすがに50年前の記憶が甦ったんだろう。
 いまも私の近所のコンビニでは、ティッシュや除菌グッズの棚がカラだ。でも、じつは在庫はたくさんある。我々がなすべきは「ああ、カラか、でも2、3日中には入るよな」と冷静に考える。と、ただそれだけなんだろう。

■中止か延期

 色々なものが中止か延期になってるのであります。
 私のまわりだけをとっても、けっこう楽しみだった茨城県石岡市の「獅子頭ライド」(3/22)も中止、某自転車関係誌700号記念パーティも中止、某自転車関連専門学校の卒業制作表彰式も中止、私の大学院時代の恩師の最終講義も延期、ほか、何でもかんでも中止&延期、または無観客試合で、おやおや、ここまでくると、もう仕方がないとしかいいようがないね。

【獅子頭ライド公式HP】
https://cyclist.sanspo.com/special/shishigashiride/


【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『サンカと三角寛』礫川全次著 平凡社新書

 前回に引き続き「サンカもの」であります。
 ふーむ、なるほど。日本の漂泊民サンカにはたしかに謎があるが、それにも負けず謎があるのが、三角寛という「サンカ研究の第一人者」のことだ。
 私も不思議だったのだ。そもそもなぜサンカは彼が「独占」していたのだろうかと。
 サンカをちょっとでも囓ったことのある人なら、みな知ってる。サンカ「ブーム」を作ったのは1から100まで三角寛という人間である。サンカといえば三角。いったいナンデなんだ?
 じつはそれ以外にも謎はたくさんある。
 なぜ彼が書くサンカの物語は、「説教強盗」などのちょっと変わった犯罪者ばかりなのか(山中の漂泊民のはずなのに)? 三角の「宗教家としての一面」(宗教家?)とは何か? なぜ彼は昭和30年代に「サンカの歴史終結」を宣言したのか。東洋大学はなぜ『サンカ社会の研究』を博士論文として通したのか?
 などなど。これらの謎を丹念に追い、三角寛のアヤシくも魅力的な人物像を浮かび上がらせたのが本書。
 私には面白かった。
 サンカがマイブーム中の人(←それはおれ)にはオススメであります。


【ヒキタ関連Kindle本】
「平成バブル物語 〜60年代生まれのための東京バブストーリー〜」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL

【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878

【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
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