紙がなくなっていく915号

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          紙がなくなっていく915号

■ペーパーレス化社会へ

 コロナ禍で、会社でのペーパーレス化がどんどん進んでいってる。
 私の勤めてる会社でもそうでね。でも誰のところでもそうじゃないでしょうか。
 そもそも今現在の私の(会社での)重要な業務のひとつが、社内ペーパーレス化にあったりするんで特に気になったりするのですよ(これホント)。
 要するにペーパーに印刷して出すというのは「手渡し前提」だから、ここに「密の芽」(?)が眠ってる。それよりももう電子化。情報、資料は画面上でよろ、とね。
 それと同時に、図書館とか(いや世の中全般)の「新聞閲覧コーナー」みたいなのが次第次第に撤去されようとしている。ニュースには、タブレットやスマホで触れるのがいつしか当然になった。
 先日、会社で久々に新聞紙を手に取り、バサバサッと逆に折りたたもうとしたときに「あ、懐かしい」と思ったもん。紙の感触が懐かしい。
 あー、こんな形で「その時代」はきたかと思った。
 私にはちょっと特別な思いがある。

■「紙の新聞はなくなる」という予言

 かつて私の亡父は「やがて紙の新聞はなくなる」と言ったことがある。今から40年ちょっと前のことだ。
 40年以上前? そう、私が子供の頃。
 そんなに前の「予言」だった。
 おやじは、新聞紙を作る最大手の某製紙会社に勤めていましてね。この会社は新聞紙の最大手でもあったけど、あらゆる紙を作る最大手の企業だった。で、私が小学6年生の頃、たしかに「やがて紙の新聞はなくなる」と言っていた。今でも憶えてる。
「なぜ紙の新聞はなくなるかって? そりゃファクシミリの時代が来るからだ。本来、新聞というのは、紙というものが大切なわけじゃない。その上に印刷されている情報にこそ、みんなカネを払ってるわけだ」
「うん」
 小6の私が答え、おやじが続ける。

■新聞はファクシミリになる

「そうだろう? その情報を各家庭に渡すために、大きな輪転機をまわし、折りたたみ、各販売店にそれを送り、早朝に配達員が各家庭に配る。これは無駄だと思わないか?」
「無駄?」
「そうだ、それよりも、現代は電話線という便利なものがある。その電話線で情報を送るんだ。電話線を伝って情報が各家庭に流れ、それを各家庭で受け取り、それぞれ印刷する。そうすれば新聞配達も大きな輪転機も何も要らなくなる。それを英語で“ファクシミリ”というんだ」
「ふーん」
 じつは私は、このときあまりピンときてなかった。でも、おやじは続けた。
「これからの新聞は、ファクシミリになる」
「ふーん」
 私は各家庭にデカい謄写版印刷機のようなものが置かれるんだろうか、と思った。FAXというものが想像できなかったから。家庭内に印刷機。なんかインクが散って汚れそうだなと思った。

■40年経って今がやってきた

 私のおやじは、特殊紙、高級紙を作る技術者だった。その頃、ファクシミリ用の感熱紙を開発するのが、まさに彼の仕事だった。だから、彼は、その先の未来をそう思い描いてたわけだ。
 ファクシミリが当たり前になる時代はきた。
 でも、新聞がファクシミリになる時代は来なかった。
 そのかわり、スマホで新聞を読む時代になってしまったわけだ。

【山手線新駅「高輪ゲートウェイ」で新聞がなくなるという話】
https://news.yahoo.co.jp/byline/mizushimahiroaki/20200313-00167116/

 スマホの普及で、新聞という存在が次第次第に崖っぷちに追いやられてきた。
 そして今、コロナだ。
 新聞というあり方そのものではなく「紙に印刷した新聞」は、間違いなく消えゆこうとしているのだろう。でも、それとともに紙の新聞ばかりか、新聞というあり方も淘汰されつつあるのが、今だ。
 どうだろう、起死回生の策はあるのだろうか。

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『愛国者のための東京案内』深川保典著 扶桑社

 あ、意外というべきか、これけっこう面白かった。
「愛国者のための」といわれると、結構身構えてしまう部分があるかもしれないけれど、いえいえ別に普通です。
 東京にかぎらず、日本の観光地とかモニュメントとかを紹介するに際しては、われわれは戦後ずーっと右翼的なモノを排除してきた側面があって、東京には謎の施設や銅像がけっこうあったりする。
 それをいちいち紹介して歩いたのが本書だ。
 たとえば皇居周りにある、勇ましい武者像は誰か。もちろん楠木正成ですね。では、貴族の装束の銅像は? 和気清麻呂です。双方、戦前には日本史の大ヒーローとされ、その後、無視された人物だ。
 または池袋のサンシャイン60の麓、小さな公園の碑には何と刻まれているか。(じつは巣鴨プリズンの跡地)
 そういったことが、大量うんちく傾けられながら、説明されていく。
 この本を持って自転車で都内ツーリングってのは、結構悪くないかもしれませんぞ。この東京という巨大都市に、意外な事実が潜んでいたりするのがわかるから。

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【ヒキタ関連Kindle本】
「平成バブル物語 ~60年代生まれのための東京バブストーリー~」(田崎仁志著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GWRJPZH/
「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集
https://www.amazon.co.jp/dp/B07JCXPGGL

【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878

【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
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