国債発行合戦? の902号(コロナ後の経済話.1)

 
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      国債発行合戦? の902号(コロナ後の経済話.1)

■子供の休校、新たな荒野に突入

 小学生の子供が3人いるわけですが、彼らの休校も昨日でめでたく40日になった。
 つまり夏休みと同じ日数に達したというこっちゃ。
 ということは、今日から「小学生の休み」史上、前代未聞、前人未踏、無人の荒野に突入するわけです。
 カナワン話だなぁ。彼らの勉強いっちょん進まん。彼らはやがて「コロナ世代」とか呼ばれるのかもしれない。

■身体のあちこちで壊死が…!

 今回のコロナ禍がまがりなりに収まったとしても、その後(いやその最中にも)どんな経済的激震がやってくるか…!? って、ものすごく不安じゃないですか。
 絶対にこのままタダですむわけないんだから。
 みんな家の中に引きこもってて、カネという“社会の血液”が回らず、今すでに、小売り、飲食、旅行、イベントほかの業界が瀕死の状態にある。つまり社会という身体のあちこちで血液が滞り、細胞が壊死し始めてる。
 でも、かといって血をそのまま回していたら、毒が全身に回ってしまうわけだ。
 タマランことに、それが今だ。

■リーマンショックどころですむかって

 いろんなエコノミストがちょっと前まで「リーマンショック級の激震がやってくる!」と言ってた。
 いやー(笑)今となっては「何をおっしゃるウサギさん」になっちまった。その程度で済みゃいいよ。
 済まんって。
 きっと未曾有の大恐慌がやってくる。だって好むと好まざるとにかかわらず、いま、誰もがやってるのは、ちびちびした消費オンリーなんだもの。要するに生産してない。
 好むと好まざるとにかかわらず、形は色々ありつつ、結局のところ、みんなで休んでる。働いてない。少なくとも「効率的に働いて」はいない。それをみんな一緒に、もう2、3ヶ月やってる。そのツケはきっとどこかで回ってくる。
 昨今IMFが言い出したのが「世界恐慌以来の!」という言い方だ。

【IMF「世界恐慌以来、最悪の不景気がやってくる」と発表】
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3952817.html

 世界恐慌が1929年。昭和4年のこと。
 きわめて大ざっぱに言うと、日本があの戦争の道に突き進んでいった遠因も、この恐慌だ。

■国債発行合戦に

 世界中が経済すごろく(モノポリーみたいなもんか)の1回休み中。
 だけど、いったい誰が最初にプレイ再開するんだろうか?
 で、持ち札はどうする?
 持ち札というべきか、それぞれの政府が「前代未聞の経済対策!」を発表している。アメリカが200兆円クラスで日本が100兆円クラス。イギリスは? フランスは?
 でも、これって、いったい財源はどこにあるんでしょう。……ってあるわけないのだ。みんなどこの国だって普通にかつかつでやってきたんだから。
 つまり財源は国債だ。どこの国もそう。どんな名前をつけようが、どこ経由の道筋をつけようが、国の借金。それで目の前のクラッシュをとりあえず軟着陸させる。どんな政治家だってそうするさ。
 で、世界は未曾有の国債発行合戦となる。

■待ち受けるハイパーインフレ?

 で、私は思うんですがね、みんなでいっぺんに国債発行したとすると、その先はいったいどうなるんでしょう。
 たとえば各国政府首脳、みんなで寄り集まって話し合うわけだ。
「さて、うちの国債は○兆円分です」「うちは◎兆円」「おや、それはひどい、ならうちは△兆円の上乗せで」「我が方は最初から××兆円」「どひょー」「それはないでしょ」「いえ、ゆずらない」「では我が国は●●●兆円!」「どひょどひょー」みたいな話。
 でも、そんな巨額の国債、すぐに引き受け手がなくなり、必然的に経済が弱い順番に国債の金利が暴騰する。
 それでも背に腹は代えられず発行、「中央銀行の買い取り」解禁、紙幣に書かれた額面に次第に意味がなくなって……。
 ……。
 こういう話の向こうには、フツーに考えると、ハイパーインフレが待ってる。日本なんて、これ幸いと「一気に借金も(相対的に)減額だー♪」となるかもしれん。でも、その先に待ってるのはおそらく円の煉獄(何それ)だろうて。
 現実として、すでに金価格(ゴールドのことね)は上がりまくってるという。

【金小売価格が40年ぶり最高値・共同通信4/13】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200413-00000025-kyodonews-bus_all&fbclid=IwAR1bhwjWjm56bb2WyG1z8pkAXdfE_kjOhmVVtIcDe7xypttZ2xzkQgF_fTs

 ブツの価値が上がって、サツの価値が下がる。こりゃもう誰もが分かるインフレで、インフレが「誰もが分かる」状態になると、どの分野にもインフレ必然の歪みが生じてくる。
 年金生活者は年金目減りという直撃を食らうだろうし、預金も大幅に価値を落とす。つまりはコロナ後の経済は、おそらく一番に高齢者を不幸にするということなのだ。
 新型コロナウイルスは、高齢者にとってキビシかったが、そのウイルスの「その後」も、高齢者にキビシイ未来となる。
 この話、つづきはまた次号。

*もちろんヒキタ個人の私見です。

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

『そしてボクは外道マンになる1,2』平松伸二著 集英社

 往年のヒット漫画家によるマンガ業界内幕もの。
 本コーナーでは、小林まことさんの『青春少年マガジン』、相原コージ・竹熊健太郎両氏の『さるマン2.0』につづいて、3つ目でありますね。……あ、広い意味では黒咲一人さんの『55歳の地図』もそうか。
 今回もまたまた青春の光と影と、中高年となった現在の悲哀と、マンガ業界のザラリとした苦さ横溢の作品でありまして、著者の平松伸二さんは『ドーベルマン刑事』『ブラック・エンジェルズ』『ザ・松田』などのヒット作の作者。その平松氏が『ドーベルマン』のあの絵柄、あの筆致で自らの一代記を描いてる。
 なんというのかな、スゴいな、編集者のド外道っぷりが(笑)。集英社、こんな本よく出したな(笑)。
 あと、途中で登場する本宮ひろ志さんと武論尊さん(特に前者)の人物像には笑うしかない。
 とりあえず2巻まで読んでみたけど、本書は3巻4巻で(いちおうの)完結なわけです。
 この続き、今は手元にないけどいつか絶対に読むな。で、読んだ後にザラリとした苦さをまたまた味わうわけだ。
 その苦みとは、ひとつには「マンガ業界ってツラいなぁ」の苦み、そしてもうひとつは「そういうところで頑張り通した青春時代、あの馬力と疾走感は、すでに手に入らないモノなんだ」という苦みだ。
 そういう意味で、私と同世代の、まさに『ドーベルマン刑事』を読んできた世代以上に、オススメなのであります(涙)。

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【ヒキタ関連Kindle本】
「平成バブル物語 〜60年代生まれのための東京バブストーリー〜」(田崎仁志著)

「津波から自転車で逃げられるか」疋田智著・NPO自転車活用推進研究会編集

 
【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる! 木世(えい)出版社

「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍

 
【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト 木世(えい)出版社
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
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